タイ海軍は2日、中国から潜水艦3隻を購入することを決めた。このニュースはアメリカ政府に大きな衝撃を与えている。

中国の南シナ海などでの軍事拡張により、近年、アジア諸国が潜水艦を保有する動きを加速させていた。タイでは2014年、クーデターによってインラック政権が倒れ、軍事政権が誕生。潜水艦購入の計画が浮上し、ドイツ、韓国、フランス、スウェーデン、ロシア、中国が売り込みをかけていた。

これに対し、アメリカ政府は、民主制への復帰を求めて圧力を強めていたが、タイ軍事政権はこれに反発。中国との結びつきを強めることで、アメリカ政府からの批判をかわそうとしてきた。そして今回、1隻あたり3億5500万ドル(約440億円)と割安な中国製の潜水艦を購入することとなった。

タイが中国に取り込まれる危険性

この決定について米海軍の関係者らは、「中国政府がタイを取り込みつつある成果の一つ」と危機感を募らせている。アメリカにとって、タイはアジアの最も古くからの同盟国だが、このままでは両国の信頼関係は弱まり、タイと中国の軍事的な結びつきが強くなってしまう。

タイ政府は、これまで中国が行ってきたことを正しく理解して、関係強化すべきはどの国か、もう一度考え直す必要がある。中国との結びつきを強めれば、将来的に、タイの国民がチベットやウイグルの人々のように人権弾圧される危険性を視野に入れておくべきだ。

上座部仏教が自由を制限している

タイは王政から民主制へ移行し、軍政に戻るなど、長年にわたり政治的な混乱状態にあるが、それが中国との関係強化にもつながっている。また、タイの政治体制が不安定である原因の一つは、タイの伝統宗教である上座部仏教(小乗仏教)だ。

大川隆法・幸福の科学総裁は2013年12月、政治的混乱に苦しんでいたインラック首相(当時)の守護霊を呼び出し、その本心を探っていた。その中でインラック首相守護霊は、こう語った。

「上座部仏教には戒律が数多くあって、それが人々を抑圧したり、人々から自由を奪ったり、思想の自由を奪ったりすることがあるわけです。それは、国王や年老いた仏教指導者たちに対して従順であることを意味します。私たちがヨーロッパやアメリカ、日本から学んだ民主主義の力学とは、まったく異なったものなのです」

タイには新たな宗教思想が必要

すなわち現在のタイでは、上座部仏教によって自由が制約され、民主主義的な思想が根付きにくいということ。タイには、大乗仏教的な思想をベースとしつつ、欧米の民主主義思想とも親和性のある、新たな宗教思想が必要だろう。その思想を元に、新たな民主主義的な政治体制をつくり上げていくべきだ。

そもそも日本こそ、タイに潜水艦の売り込みをかけるべきだった。日本はもっと親日国タイとの経済的・政治的な結びつきを強め、タイに民主主義的価値観が根付くよう、サポートする必要があるだろう。(泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『守護霊インタビュー タイ・インラック首相から日本へのメッセージ』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1089

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