中国株が暴落を続けている。上海総合指数は6月12日のピークを境に、20%以上も落ちこんでおり、一般的にベア・マーケット(市場低迷)と呼ばれる域に入っている。

英ファイナンシャル・タイムズ紙のジョッシュ・ノーベル氏によると、上海市場はこの17日間で1.2兆ドル(約140兆円)もの価値を失っており、これはスペイン株式市場が全て消えたのとほぼ同程度の損失だという。

27日に中国人民銀行は金利を0.25%下げるなど、金融緩和政策で市場の低迷に対抗しようとしている。しかし、金利を下げた次の月曜日に、上海市場はさらに3.3%も下落した。

一部の識者によると、今まで中国株を支えてきたのは、「レバレッジ」だという。レバレッジとは、ブローカー(仲買人)などからお金を借りることで、自分の持っている資産の数倍・数十倍の投資を行うことだ。例えば、1000円分の株を買い、株価が10%上昇すれば、儲けは100円だ。しかし、さらに9000円を借り、10000円分の株を買い、10倍のレバレッジをかければ、株価が10%上昇した時、儲けは1000円になる。

もちろん、株価が下がった場合は、10倍の損失をこうむることになる。2008年にアメリカで起こったサブプライム危機も、株価の低迷による損害がレバレッジで増幅されたことで起きた。

中国バブルが弾ければ、日本やアメリカが過去に経験してきたデフレが、今度は中国を襲うことになるかもしれない。

もっとも、中国株式市場の下落は、実態経済の先行きの暗さを反映しているにすぎない。中国のザ・ナンファン紙によると、最近、日本のシチズン社や、アメリカのマイクロソフト社などが、中国から引き上げることを表明している。また、ユニクロ、ナイキ、フォックスコン、パナソニック、シャープなども撤退を視野に入れているという。

今まで、外国の会社のために安いモノを作ってやりくりしてきた中国だが、いま、それら外国企業が逃げ出しているのだ。

もちろん、それらの企業は、「中国人労働者の賃金が上がったため、コストが増えた」などといった理由を提示しており、それも嘘ではないだろう。しかし、ここ数年、東シナ海・南シナ海などにおける中国の横暴を見た外国企業が、警戒心を募らせていることも事実だろう。

中国共産党は、他国を侵略しながら、外国と良い経済関係を保ちたいと思っているのかもしれないが、経済関係は信頼の上に成り立つものだ。

中国は、侵略主義が外国企業の撤退を招き、自分自身の首を絞めていることに気付くべきではないだろうか。(中)

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