政府がこのほど、新たな成長戦略である「日本再興戦略」の素案をまとめた。安倍晋三首相は、産業競争力会議の挨拶で「未来への前向きな投資によって生産性革命を実現することが重要」と述べた。

アベノミクスの成長戦略の軸足が、デフレ脱却のための「需要不足の解消」から、技術革新や人材活用などによる「生産性の向上」へ移行したようだ。

同戦略の骨子案では、IoT(Internet of Things:あらゆるモノをインターネットにつなぐこと)・ビッグデータ・人工知能などの活用による産業変革の方向性が示された。また、シリコンバレーと懸け橋を結び、グローバル・ベンチャーの育成支援をするなど、技術の進歩による経済成長の実現をうたう。さらに、雇用制度改革や人材力の強化、産学連携の教育改革など、多岐にわたる成長戦略が掲げられている。

眠っている技術と人材を活用すれば生産性は高まる

日本の経済活動の生産性が低下した主な原因として、企業の投資抑制と、人材がうまく活用されていないことが挙げられる。

昨年4月から消費税が8%に上がり、2017年4月からは10%に上がる予定だ。株価は上がっているとはいえ、日本経済の先行きが不透明であることから、各企業は手元に資金を残すため、設備投資などに慎重な姿勢を崩していない。その影響から、設備の老朽化などにより生産効率や競争力が低下。技術革新や製品・サービスを創り出すスピードも鈍くなる。

また、少子高齢化によって労働者人口が縮小傾向にある中で、企業と新規就労者のミスマッチなどによる非正規雇用の若者の増加も、生産性低下の一つの原因と言えるだろう。女性や高齢者、優秀な外国人も十分に活用できているとは言い難い。

「創造する頭脳」の発揮が日本の潜在力を呼び起こす

経済成長のためには、技術革新や人材活用などを通じて、生産性を高める必要があるのはもっともだ。日本の潜在力を考えると、まだ真価を発揮していない人材や技術がたくさん眠っているのではないか。

では、さまざまな事務的な仕事がコンピューターに代替され、IT やロボット等の人工知能などが高度化するこれからの時代に価値を生むのは何か。

それは「創造する頭脳」だろう。

「創造する頭脳」とは、豊かなアイデアや発想力を持ち、未知の世界のフロンティアを拓く人材のこと。こうした人材を数多く輩出するために、付加価値を生む教育のあり方を考える必要がある。教育の生産性が高まることで「創造する頭脳」が育ち、産業が発展し、日本の国際競争力が強くなるのであれば、教育に使ったお金は「最も価値のある投資」と言える。(参考:文末の『創造する頭脳』)

日本、そして世界の発展に貢献するフロンティアを拓くために、「創造する頭脳」を持ち、勇気・責任感・積極性・行動力などの企業家マインドを持つ人材を数多く生み出していくことこそが、国家にとって最も効果的な成長戦略となるはずだ。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『創造する頭脳』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1367

幸福の科学出版 『資本主義の未来』 大川隆法著

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