アメリカの軍事会社や、シリコンバレーのテクノロジー企業などが、新たな原発ブームを予想して、原発の開発に合計で13億ドル(約1600億円)もの投資をしていることを、ロイター紙が報じている。

開発中の原発は、既存の原発と比べると小型であり、ウラン以外の核燃料や、水以外の冷却システムを使ったデザインとなっている。今後10年から15年の間に実用化する可能性があるという。

核融合炉や小型原発の開発が進む

ビル・ゲイツなどが融資している米企業テラ・パワーは、液体メタルを冷却に使う原発を建設することを目指している。さらに、ビル・ゲイツと共にマイクロソフトの創始者の一人であるポール・アレンが融資する企業トライ・アルファは、核融合炉の研究を進めている。

また、開発企業の中には米軍事会社のロッキード・マーティンや、エネルギー会社のホルテックなどもある。ロッキードは昨年、核融合を使ったエネルギー生成に成功しており、これをトラックの後ろに載せられる規模まで小型化するのに10年ほどかかるという。

こういった研究が目指しているのは、化石燃料(石油・天然ガス)や再生可能エネルギー(風力、太陽光)と比べてコスト面でも負けない原発だ。また、既存の原発が建設に5~6年かかるのに対し、新しい原発は小型であるため、建設に1~5年程度の年月しかかからない。

日本には世界最先端技術が眠っているが……

日本でも核融合などの研究は進んでおり、核分裂を使う原発技術も世界の中でトップレベルだ。しかし、福島原発事故以来、いまだに多くの原発が停止したままだ。日本には世界最先端の技術が眠っているが、それを使わないまま放置している側面がある。

このまま原発を再稼動せず、新しい核技術・エネルギーの使用を拒み続けたらどうなるのだろうか。10年後や20年後に、先進国が小型原発や核融合炉を使っているときに、日本だけまだ20世紀の技術を使い続けているなどという状況もあり得る。エネルギー業界をリードするどころか、世界に取り残されてしまう可能性もある。

日本は「自縄自縛」をそろそろやめて、最先端技術を積極的に実用化していくべきだ。(中)

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