海上自衛隊とフィリピン海軍は23日、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に面する、フィリピン西部のパラワン島で、海上自衛隊のP3C哨戒機を導入した初の共同訓練を行った。23日付各紙が報じた。

今回の共同訓練は、警戒監視能力に優れるP3Cを導入することで、有事の際の人命の救助活動の他、フィリピンとの連携を強め、中国をけん制する狙いがあるとされる。

日本は石油の約8割を南シナ海を介して輸入

本誌2014年8月号では、日本の自衛隊は南シナ海で友好国と合同演習を行うべきだと提言していた(下記、関連記事参照)。その背景には、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のパラセル諸島で、石油の掘削作業を始めるなど、領土拡大の野心をむき出しにする軍事覇権国家・中国の存在があった。今回は演習ではないものの、両国海軍の連携が深まることは、アジア地域の平和を確立する上で、望ましいことだ。

日本は石油の約8割を、南シナ海を介して輸入している。中国が南シナ海を手中に収めてしまうことは、シーレーン(海上交通路)を押さえられ、日本の生殺与奪の権が中国に握られてしまうことを意味する。南シナ海の問題は、日本にとって決して対岸の火事ではない。

中国は現在も、スプラトリー諸島のファイアリクロス礁に、戦闘機の離発着が可能な軍事滑走路を建設するなど、南シナ海は依然として緊張状態が続く。

日本はアジアの警察官たれ

ただ、ベトナムやフィリピン単独では、経済的にも軍事的にも中国に対抗するのは難しいのが現状だ。アメリカのオバマ大統領が「アメリカは世界の警察官ではない」という考えを示す中、東南アジア諸国の日本に対する期待は大きい。

日本が先の大戦を戦った結果、東南アジア諸国は欧米による植民地支配から独立を果たした。実際に、東南アジア諸国には、親日国は多い。しかし中国が今行おうとしていることは、日本が目指したアジア諸国の独立とは真逆の軍事力や恐怖による支配だ。東南アジアの平和と繁栄のために、日本にはアジアの警察官としての働きが求められている。(冨)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1213

幸福の科学出版 『「奇跡」の日本近代史』 綾織次郎著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1492

【関連記事】

2014年8月号記事 日本はアジアの警察官たれ 東南アジアは「盟主」を求めている Part1

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8033

2014年7月号記事 緊張状態が続く南シナ海 中国の横暴を座視するな - The Liberty Opinion 4

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7875