2015年8月号記事

第35回

釈量子の志士奮迅

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

ユネスコ記憶遺産 嘘が登録されたら誰の責任?

会見には、天児都氏(中)と評論家の茂木弘道氏(右)も同席し、共に中国の申請資料の不正を訴えた。

5月26日に、フランス・パリにあるユネスコ本部を訪問いたしました。中国がユネスコ記憶遺産に登録申請している「従軍慰安婦」「南京大虐殺」の資料が不正であり、歴史のねつ造であるとする申し入れ書を提出するためです。

申し入れ書には、趣旨に賛同された渡部昇一・上智大学名誉教授や国際エコノミストの長谷川慶太郎氏など、国内外の有識者45人が名を連ねてくださいました。この場を借りて、心から御礼申し上げます。

帰国後の6月10日には、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開き、報道陣の方々にも同様のお訴えをさせていただきました。

中国の嘘を証明する資料

資料の不正とはどのようなものだったのか。最も象徴的なのは、慰安所の前で日本兵と女性が並んで立っている一枚の写真です。中国はこれを、「慰安婦の強制連行」の証拠として提出。写真の著作権は、中国の公文書館にあると明記してあります。

しかし写真の原本であるフィルムを持っていたのは、福岡県にお住まいの産婦人科医の女性、天児都さん(80歳)。天児さんは、中国に写真の使用を許可した覚えはないとおっしゃいます。

この写真を撮影したのは、天児さんのお父様である麻生徹男さん(故人)です。麻生さんは戦時中、軍医として中国に渡り、慰安所を巡回しておられました。娼婦たちの性病治療のためです。この事実は、軍による強制連行がなかったどころか、娼婦に対する医療行為が行われていたことを示しています。

中国が提出した資料には、こうした不正がいくつも発見され、日本の「悪事」を示すような証拠は見つかりませんでした。

中国が精一杯集めた資料がこうしたものなのです。日本の「悪事」を証明するどころか、逆に中国のプロパガンダが事実無根だと証明しているようなものです。

ユネスコ記憶遺産の最終審査は9月、アラブ首長国連邦のアブダビにて行われます。もしそこで正式に登録されてしまえば、中国が世界中にアピールすることは目に見えています。今まで以上に誤った歴史観が世界に広がり、ひっくり返すのは難しくなるでしょう。

この問題に対して安倍政権は、河野・村山談話に縛られてか、目立った反論や十分な抗議ができていません。

「自分の責任」として行動していく

この状況を見るにつけて思うことがあります。もしこの杜撰な資料が記憶遺産に登録されてしまったら、いったい誰が責任を取るつもりなのか――。中国に対して反論をしない安倍政権でしょうか。この問題を十分に取り上げないマスコミでしょうか。

彼らを批判することは簡単です。しかし私は「この問題は、自分の責任」と考え、言論のみならず、微力ながらも実際に行動することを重視しています。

幸福実現党は昨年から、中国による記憶遺産への申請に抗議し、安倍政権に万全の措置を求める署名運動を全国で展開。集まった署名19万筆以上を内閣府に提出することができました。

一人ひとりにご説明しながらの署名活動は、地道なものでしたが、着実に世論をつくっていくことが大事だと考えております。

「河野・村山談話」撤回なくして9条改正は困難

同じことは、ユネスコ記憶遺産以外にも言えます。

安倍政権は、歴史認識を曖昧にしたまま憲法9条も改正しようとしていますが、難しいでしょう。日本の自虐史観はそもそも、GHQが日本に軍事力を持たせないために埋め込んだ仕掛けです。現に今、安保法制案に対して、多くの日本人が「先の大戦」を連想して強く反発しています。このような世論を変えることなく、憲法9条を改正することなどできるはずがありません。

しかし安倍政権は「河野・村山談話」を継承すると言った手前、正しい歴史認識を国民に説得できず、国防強化への警戒も解けずにいます。この問題も幸福実現党は「この国を根本から立て直そうとする我々の責務だ」と考え、「河野・村山談話」の撤回を求める署名活動も行っております。戦後70年の今年、着実な啓蒙活動に邁進して参ります。