与野党が、衆院憲法審査会で、安全保障関連法案が「合憲か、違憲か」をめぐって議論したことを、12日付各紙が報じた。この議論は、4日に参考人として招かれた憲法学者が、関連法案を「違憲」と指摘したことがきっかけで起こっている。

自民党の高村正彦副総裁は、「安全保障環境が大きく変化している。国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、自衛のための必要な措置を考え抜く責務がある。これを行うのは、憲法学者でなく政治家だ」と主張した。

一方、民主党の枝野幸男幹事長は、「憲法は権力が守らなければならない基本となる法。その解釈についての専門家の指摘を無視して、都合よく否定する姿勢は、法の支配とは対極そのものだ」と批判。

審査後、自民党の平沢勝栄氏は、「憲法があって国があるわけではない。国があって憲法がある。『憲法栄えて国滅ぶ』の愚を犯してはならない」と述べた。

国を守ることが前提で憲法も存在

高村氏、平沢氏の意見はもっともだ。国が滅べば憲法の意味はない。

そもそも憲法とは、国の大きな方向性を決めるためのものであり、大きくは基本的人権を守る部分と、統治の原理から成る。憲法は抽象的で条数も少ないため、細かいところまで規定することはできない。そのため、時代や必要に応じて憲法の解釈を変更したり、それに基づいて法律へと具体化させる必要がある。金科玉条の如く、守り続ければよいものではない。

安保法制や改憲反対論者には、「主権の概念が欠けている」ことが問題だ。日本国憲法には「国民主権」が明記されているが、現在は憲法9条の規定により、主権者である国民が国を守ろうとしてもそれができない状態だ。すなわち、憲法9条自体が、上位概念である国民主権に違反している条文なのだ。

中国の脅威にさらされ、国民の生命・安全・財産が侵されかねない状況においては、憲法解釈を変更すべきだ。大局的な目で見て、今の日本には新たな安全保障体制が必要だ。真に日本のことを考えるのであれば、野党も、今国会で安全保障関連法案を成立させるために協力しなければならない。(泉)

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