画像は、中華人民共和国国家測絵総局が発行した地図(外務省の資料より)。

外務省はこのほど、「尖閣諸島は日本領」と明記した中国政府発行の地図をホームページ上に公開した。同地図は、中国の国土地理院「中華人民共和国国家測絵総局」が1969年に発行したもので、地図には「釣魚島」という中国側の呼称ではなく、日本名の「尖閣群島」と記載されている。

この地図は、在米日本大使館付公使(当時)の千葉明氏が、米フォーリン・ポリシー誌2013年9、10月号でその存在を明らかにしていたもの。近現代史研究家の水間政憲氏は月刊Voice2月号で「外務省はホームページに掲載するべき」と指摘していた。

この地図公開に対して、中国側は案の定、猛反発している。外務省の洪磊(ホンレイ)副報道局長は17日、「歴史的事実は誰かが無駄な努力をして探し出した1、2枚の地図で覆されるものではない」と反論。共産党機関紙「環球時報」(11日付)も、「理屈で負けた日本は、骨董市で見つけた古い地図に夢中になっている」と論評している。

国家最高レベルの公式文書とはいえ、中国政府は、日本側が主張する「中国政府の公式地図」との見方を直接否定していない。その理由は、同地図巻頭部分の毛沢東・初代国家主席の語録にある。その一部を紹介すると、次の通りだ。

「我々の事業を導く中核となる力は、中国共産党である。我々の思想を導く理論的基礎は、マルクス・レーニン主義だ」(第1回全国人民代表大会―第1次会議開会の詞)

中国政府発行の文書で、毛沢東語録がついたものは、毛沢東のお墨付きを得たという意味と言える。つまり、同地図はある意味で、国家最高レベルの公式文書なのだ。中国はこれまで、「日本が日清戦争中、尖閣諸島を掠め取った」などと主張してきたが、明らかに矛盾している。まさに、「歴史修正主義」と言わざるを得ない。

実際、中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、国際連合のアジア極東経済委員会(ECAFE)が、同諸島の海域に約1千億バレルの石油と天然ガスの埋蔵がある可能性を公開した1969年5月以降だ。「歴史的事実」というには歴史が浅すぎる。

中国がこれ以上、尖閣の領有権を主張するなら、今回の地図が中国の公式地図ではないことを、証拠に基づいて反論すべきではないか。あるいは、国際司法裁判所に提訴する権利もあるはずだ。いずれにせよ、平和的な解決を行うべきである。万が一にも、中国は軍事力による解決を企図してはならない。

日本政府は、中国の恫喝に屈することなく、今回の地図などの明確な証拠を通じて、「尖閣諸島は日本領に属する」と国際社会にアピールするべきだ。(山本慧)

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