米次世代戦闘機のイメージ(Wikipediaより)。

F-35の量産体制を進めるアメリカでは、すでに次世代戦闘機の議論が熱を帯びている。その焦点の1つは、ステルス技術の継承だ。特に、米海軍の制服組トップであるジョナサン・グリーナート大将はステルスに否定的な発言をしている。

2月上旬の米海軍未来科学技術エキスポで、グリーナート氏は、「ステルス技術は過大評価されている。ステルス技術が終わったとは言わないが、その限界にも向き合うべきだ。物体が空中を高速移動し、空気を振動させて熱を出せば、どんなに静かなエンジンを積んだとしても、探知は可能になる」とスピーチ。

戦闘機のスピードについても、同氏は「結局、ミサイルは追い越せないのだから、過剰なスピードは必要ない」と否定的な見解を示した。つまり、ステルス中心の開発よりも、新兵器の開発を優先すべきだという。その上で、「ステルスとスピードの代わりに、次世代戦闘機は、敵の防空兵器を圧倒できる様々な武器を採用することになるだろう」と述べた。

米空軍の兵器装備の選定を担当するエレン・ポウリコウスキー中将も、「ステルスにすべてを期待することはできない。ステルスと他の装備を組み合わせれば、脅威に対処しうる」(2月20日付Defense-Tech)とし、超音速機技術を流用する可能性もあるという。

ステルスに懸念を示す米軍

日本も導入を予定しているF-35は、高いステルス性を持つ戦闘機であるため、次の世代もより高度に発達したステルス技術を持つのではないかと思われがちだ。しかし、これらの米軍上層部の発言からは、そのような認識がないことが分かる。ステルス技術に懸念を抱く背景には、超音速対空ミサイルやレーダーなどの技術進歩に伴い、ステルスの有効性が薄れつつある事情がある。

このほか世界では、無人ステルス戦闘機の開発が進んでいる。東洋経済によれば、イギリスはタラニス、フランスはニューロン、中国は利剣を研究開発しており、すでに初飛行などを終えているという(2014年4月20日付電子版)。将来的には、無人機が空の防衛を担う中心になるかもしれない。

次世代戦闘機の「心神」(通称)を開発中の日本にとって、アメリカで起きている議論や他国の無人機の動向は注目に値する。最先端の軍事技術を進歩させることは、日本の抑止力に大きく貢献するとともに、国際競争力を強化する。日本としては、F-35と心神をベースとした国産機を整えるのみならず、無人機への研究開発も進める必要がある。(山本慧)

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