世界のウイグル人組織を統括する「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長(写真右から2人目)らは3日、東京都内の中国大使館前で、中国政府によるウイグル人弾圧に対する抗議活動を行った。

抗議活動に先立ち、ラビア氏は集まった多くの報道陣に対して、「中国はイスラム国と何も変わらない」「第二次世界大戦で敗北したヒトラーの政策をウイグルで実行している」などと訴え、ウイグル人から言葉や仕事、地下資源などを奪った中国を「世界最大のテロ集団」と断じた。また、中国に謝罪を求め、すぐにウイグル人に対するテロ行為をやめるよう、世界に呼びかける決意を語った。

イスラム国による人質殺害事件で揺れる日本に対しては哀悼の意を示しつつ、「外交を通して、ウイグルの難民たちを第三国に引き渡すように働きかけてほしい」と呼びかけた。

デモ隊は正午過ぎに、近くの集合場所から中国大使館前へ移動。周辺の交通事情を理由に一度に抗議できる人数を5人に限られた中で、ラビア氏らは、「Human rights for Uyghur(ウイグル人に人権を)」「China, go out(中国は出て行け)」などと力強くシュプレヒコールを上げた。

中国政府の弾圧が続く新疆ウイグル自治区では、昨年7月末、カシュガル地区ヤルカンド県で「暴動」が発生。中国の治安当局は「テロ事件」として、一般市民を含む約100人が犠牲になったと発表した。しかし、ラビア氏はこの事件で、ウイグル人だけで少なくとも2000人以上が中国の治安部隊に殺害されたと主張しており、治安当局の数字と大きな隔たりが見られる。

また、同自治区では、2014年の犯罪で逮捕された人の数が2万7千人を超え、前年と比べて約2倍になったといい、増加した逮捕者のほとんどがウイグル人だという。

だが、こうした「暴動」「テロ」「逮捕者」という表現は、あくまで中国政府側の発表である。それ以前に、ウイグルの人々は宗教や慣習を否定され、差別され、時には命を奪われてきた長い歴史がある。それに対する抵抗を、「暴動」や「テロ」という言葉で片付けていいはずがない。彼らは、圧政からの自由を求めているのだ。

日本人は、世界のさまざまな場所で起こる、さまざまな事件に対して、無関心でいてはいけない。国際社会に向けて、「世界的な正義とは何か」について、積極的に発信すべき時期が来ている。(冨)

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