オバマ大統領は20日、上下両院の合同会議で一般教書演説を行い、今年の内政・外交に関する施策方針を明らかにした。

演説ではイスラム国をはじめとしたテロ対策で国際社会を牽引していく方針を示したものの、そこには具体策が見られない。アジア地域では、同盟国との関係強化とともに、海洋紛争の解決などで「当事国が法に従って行動するべきだ」と主張した。国内問題に集中したいオバマ大統領の本心が垣間見える。

一番時間を割いたのは内政

それを象徴するかのように、演説の中でオバマ大統領が一番時間を割いたのは内政についてだ。オバマ大統領は、アメリカで急務の問題となっている富裕層と低所得者層、中間所得者層の格差是正に向けた支援策を提示した。

支援策では富裕層への課税を強化し、大手金融機関に手数料を課すことで財源を確保。2年制大学の無償化を筆頭に、育児中の家庭の税控除額の拡大、大学生がいる家庭への減税なども掲げた。

さらにオバマ大統領は、「21世紀のビジネスでは米国製品をもっと海外に売る必要がある」と述べており、一国繁栄主義の道をひた走っている。

こうしたオバマ大統領の演説からは、途上国を繁栄に導こうという世界のリーダーとしてのアメリカの気概が全く感じられない。

シリア介入見送りに見る弱腰外交

オバマ大統領は2013年、シリア政府軍が化学兵器を使用した証拠が出たのにもかかわらず、内戦が続くシリアへの軍事介入を見送った。その間、多数の民間人が虐殺され、アメリカの弱腰外交は国内外から多くの批判を浴びた。

シリアへの軍事介入の見送りを表明した同年9月には「アメリカは世界の警察官ではない」と発言しており、一国平和主義を掲げるオバマ大統領には、正義を実現するためには悪との戦いを辞さないといった考えはもはやない。演説ではイスラム国に対する軍事力行使も辞さない態度を見せているが、果たして本気なのか疑問符がつく。

内政についても、オバマ大統領は、かつてアメリカで尊重されてきた「自由」という価値観よりも「平等」を尊重している。富裕層からお金を奪って低所得者層にばらまいても、格差は是正されるが、富が生まれるわけではない。結局、「貧しさの平等」が実現してしまうだけだ。

リーダーシップの発揮は先進国の義務

大川隆法・幸福の科学総裁は著書『国際政治を見る眼』(幸福の科学出版刊)の中で、大国が内向き志向になることについて、次のように危機感を表している。

「大国がみな、『世界から撤退していき、自分の国の経済が何とか潰れないようにする』というだけの方向に行くと、シュリンク(縮小)、つまり、地球全体が縮んでいく状況となり、そのなかで、『人口だけは増えている』ということになりますと、このあと、きっと“恐ろしいこと"が起きるだろうと思います」

世界全体の繁栄を維持していくためにも、経済面や軍事面において国際社会でリーダーシップを発揮することは先進国の義務である。アメリカが世界のリーダーとしての使命を放棄しようとする中、その役割を担うべき国は日本だ。日本は自由の価値観のもと、次なる繁栄のビジョンを示すべきだ。(冨)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国際政治を見る眼』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『オバマ大統領の新・守護霊メッセージ』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『アサド大統領のスピリチュアル・メッセージ』 大川隆法著

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2014年8月号記事 オバマ大統領は「アメリカの使命」に立ち返れ - The Liberty Opinion 1

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2013年11月号記事 「世界の警察官」を降りたアメリカ(Webバージョン) - 編集長コラム

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