厚生労働省が、残業代不払いなどの違法行為を繰り返す、いわゆる「ブラック企業」対策に躍起になっている。

今月26日に始まる通常国会での議論をにらみ、「ブラック企業」の新卒求人をハローワークで受け付けない制度や、社員の定着率が高いなどの条件を満たした企業を「優良企業」に認定する制度の法制化を検討しているという。

この場合、ハローワークというひとつの政府機関が、ブラック企業を「定義」することになり、政府に強い権限が付与されることになる。すると、金融機関の融資査定に大きな影響を及ぼすのみならず、政府が「求人受付拒否」をちらつかせ、企業に何らかの圧力を与えることも可能となる。企業にとっては「規制強化」そのものと言えるだろう。

長時間労働、残業代の不払い、過剰なノルマ、パワハラ…。世間から「ブラック企業」のレッテルを貼られることは、企業にとってはイメージダウンとなり、業績の大幅減、事業存亡の危機に直結する。

それに、ブラック企業批判はいつどこから生まれるかわからない。「まるか食品」製造のカップ焼きそばにゴキブリが混入していた事例や、「日本マクドナルド」が販売したナゲットやポテトに異物が混入していたといった不祥事は、労働環境に不満を抱いた従業員によるものと見る向きもあり、そこで新たにブラック企業の“嫌疑"をかけられてダメージを受けているという意見もある。

企業もこうしたレッテル貼りを回避するのに必死だ。厚生労働省は13年度から、「若者応援企業」の宣言事業を始めた。これは、離職者数や有給休暇取得状況の開示などを公表する中小企業が、自らを「若者応援企業」と大々的に宣言することで、ハローワークに優先的にPRしてもらえるというもの。これは事実上、政府が企業に「お墨付き」を与える仕組みだ。

もちろん法律違反が横行している本当のブラック企業なら問題であり、公の場できちんと正されるべきだ。だが、同じ条件下でも生き生きと働いている従業員もいる。様々なケースがあるのに一律に「ブラック企業」呼ばわりするのは、彼らに対して失礼ではないだろうか。

昨年末の衆院選では、共産党の議席が倍増した。同党の躍進は、近年高まっているブラック企業批判とも無関係ではないだろう。彼らの主張の根底には、「労働者は資本家から搾取されている」というマルクス主義の思想が流れていることに注意しなければならない。実は、選挙で"圧勝"した安倍政権と共産党の隠れた共通点がここにある。

また、1800冊以上の著作の中で、新しい経営理論についても説いている大川隆法・幸福の科学総裁は、ブラック企業批判について次のように述べている。

「経営者には、一定の厳しさが要るだろうとは思うのです。その厳しさのところを、単に、『ホワイトか、ブラックか』と考えるようでは、『甘い』と思います。(中略)『与える愛』の考えとして、単に『ホワイト企業』と言われる『非常に優雅で、楽な生活ができる会社』のようなものを理想としているのなら、それには、厳しいものがあると言わざるをえません」(『経営が成功するコツ』幸福の科学出版刊)

会社から好条件を与えられることを望んだり、政府のような大きな組織に頼ったりするのではなく、「たとえ厳しい環境であっても、自分には何ができるか」を考える個人が増えてこそ、この国の富の総量も増えていく。今こそ自ら智慧を絞って努力する人を肯定し、真の意味での「ブラック(黒字)企業」を目指すべきではないか。行き過ぎたブラック企業批判は、そうした資本主義精神を傷つけかねない。(翼)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『経営が成功するコツ』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『共産主義批判の常識』 大川隆法著

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2014年10月号記事 「黒字ブラック企業を目指せ!」 - ビル・ゲイツもジョブズも人の何倍も働いていた

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2013年11月号記事 「ブラック企業」批判は資本主義の精神を傷つける - The Liberty Opinion 3

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6701