衆院選の大きな争点でもある「消費増税」。自民党をはじめ、どの党も「増税やむなし」としていますが、実は「やむなし」で、どのようなことが起きるのか、理解していないようです。「消費税を上げると、企業の赤字・倒産、自殺者が増えます」。第2回目は、この論点について解説していきましょう。

1989年4月に、初めて消費税3%が導入されました。するとその後、赤字企業が急増します。また、それまで数千件にとどまっていた倒産企業も、1991年には1万件を超えました。

また、1997年4月に、消費税が3%から5%に上がりました。すると再び、赤字企業が急増します。また、それまで減少傾向にあった倒産企業も、その年に1万7千件を超えます。自殺者も増え、翌98年には初めて3万人を突破しました。

消費増税は、GDPの6割を占める「個人消費」を直撃します

22日付の「その1」でも紹介しましたが、ニュースなどでよく耳にする「国内総生産(GDP)」という言葉があります。これは、その国の経済活動の規模を示すものですが、日本のGDPの約6割は、国民がモノを買う「個人消費」が占めています。

また、それ以外のGDPの約3割も、この個人消費を支えるために、民間企業や政府が、建物(工場)を建てたり、新しく機械を購入したりする、いわゆる先行投資と呼ばれるものです。つまり、日本経済の約9割がなんらかの形で個人消費につながっています。消費増税は、この個人消費に直接大きなダメージを与えるため、景気が悪くなるのです。

消費増税で、立場の弱い中小企業が苦しみます

では、消費増税を行うと、具体的にどのようなマイナスが生じるのでしょうか。

まず、スーパーなどの小売業は、増税分の金額を商品の値段に上乗せ(消費者への価格転嫁)しなければいけないため、モノの値段が上がって、消費者はモノを買わなくなります。

また大企業は、下請けの中小企業からできるだけ安くモノを買いたい。その反面、下請けは、大企業からモノを買ってもらえなくなると倒産してしまうため、増税分の金額を自分で負担して、従来の値段のままでモノを買ってもらいます。

そうすると何が起きるか。自動車メーカーで例えるなら、トヨタが儲かっても、部品などを納める下請けの中小企業は赤字が続く、という事態が起きてしまいます。このように、増税分の金額を上乗せできない、弱い立場の中小企業が赤字になったり、倒産したりするケースが増えてくるのです。

実際、2008年の国の税金の滞納額のうち、約46%が消費税の滞納でした。中小企業は消費税を払いたくても払えないのです。赤字企業の場合、法人税は払わなくても良いのですが、消費税はどんなに苦しくても払わなくてはいけません。つまり、消費税は、資金繰りが苦しい企業ほど苦しめる税金なのです。

冒頭で紹介した過去の消費増税で、赤字・倒産企業が増えた背景には、こうした事情があるのです。

このような多くの不幸を生み出す「消費税」に対し、幸福実現党はこれまで、日本全国でデモや署名活動などを行い、時の政権に「8%、10%の増税中止」を求めてきました。今回、幸福実現党は「5%への引き下げ」を主張していますが、個人や企業の負担を減らすことによって、国民が自由に、積極的にお金を使う環境をつくり、日本経済を成長させようとしているのです。

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