日本の7~9月期のGDP成長は年率マイナス1.6%と、予想を大幅に下回った。

識者の間では、前期のマイナス7.3%からプラス成長に回復すると思われていたが、4月の消費増税の悪影響が予想以上に大きかったことが伺える。2四半期連続のマイナス成長は、日本が不況に入ったことを意味しており、これを見た安倍政権は、来年の消費増税見送りを決定するのではないかと取り沙汰されている。

また、民間消費が経済の60%を占める中、民間消費支出も0.4%しか上昇せず、企業の設備投資にいたっては予想のプラス0.9%を遥かに下回るマイナス0.2%と言う数字が出た。

安倍政権の関係者たちは、7~9月期の経済が強くリバウンドすることを願っていたそうだが、この楽観論こそが現政権の不見識を物語っている。幸福実現党が2009年から提言していた金融緩和を2012年末にようやく実施し、一年以上の間景気が上向いていたところを、たった一度の増税で潰してしまった。1989年に3%の消費税を導入し、1997年に5%に引き上げ、そのつど不況を招いた教訓を活かせず、今回また8%への増税で国を不況へ陥れた。

消費税増税が失策であったことはもはや明らかであり、消費税は速やかに5%に戻すべきだ。しかし、それだけでは経済の長期的な発展は到来しない。

「異次元緩和」をやっても企業が金を借りないのは、政府の場当たり的な経済政策のために将来の経済環境が見えず、企業が慎重になっていることと、規制の縛りが強すぎることにも起因している。

「大きな政府」がどれほど日本に害を及ぼしているか。

「小さな政府」を目指したレーガン元米大統領は、就任式のときに「政府は我々の問題を解決できない。なぜなら、政府こそが問題だからだ」と言った。いまの日本を見ればまさにその通りであり、農業政策などに代表される「行政指導」が、経済成長への足かせとなっているのだ。

それは同時に、政府が国民を信頼していないということでもある。国民の判断や事業家精神を信頼せず、国が面倒を見るというわけだ。これを根本的に変えないかぎり、日本を覆う閉塞感を払拭することはできないだろう。(中)

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