京都大学内で活動していた公安警察官が、学生らに拘束される事件が、4日に起きた。

事件の2日前、東京都内で極左団体のデモが行われていた。そこで、京大生2人が警察官に暴行を加え、逮捕される。事件が起きた4日には、同団体が京大構内で学生逮捕に対する抗議集会を行っていた。それを警戒した京都府警の巡査部長が、私服で学内に立ち入っていた。しかし、学生らに発見され、その場で取り押さえられる。講義室内で3時間、立ち入り目的などを尋問された。

実は、京大と府警は、「警察官が学内に入る際には事前通告する」という取り決めをしていた。京大の杉万俊夫副学長も「遺憾です」とのコメントを発表している。マスコミ報道の中には、警察官の行為を問題ありとするものも多かった。

しかし、警察側には犯罪や治安悪化を防ぐ意図があった。迅速な対応のためには事前告知ができないこともある。取り決めを破ったとはいえ、警察官を暴力的に拘束する行為は、簡単に正当化されないだろう。警察側は、逮捕・監禁容疑事件として詳細を調べている。

警察も大学に入れない「学問の自由」のデリケートさ

ところで、この「警察が事前告知なしに大学に入ってはいけない」という取り決めの存在自体に、驚く人もいるかもしれない。

取り決めの背景には、「大学の自治」という考え方がある。これは、「大学が学外の機関や政治勢力からの干渉を受けずに、教育・研究に関する事項を自主的に管理・運営する」というもの。政府が大学の運営などに関与すれば、「学問の自由」が侵されることにつながりかねないため、近代的自由権保障の条件のひとつとされている。

戦前に起きた事件で、文部省(当時)が京都帝国大学教授の滝川幸辰を一方的に休職処分にした「滝川事件」、天皇機関説という学説が、国体に反するとして攻撃された「天皇機関説事件」というものがある。それらの思想・学説が正しいか否かは別として、「時代の少数派だというだけで、ある学問が弾圧された歴史」として記憶されている。

こうした反省に立って、警察が大学に立ち入ることは、「大学の自治」「学問の自由」の侵害になりうると認識されている。もちろん、国家や治安を守るという警察の行為は尊重されなければいけない。それだけに今回の事件は、「学問の自由」のデリケートさを実感するものと言える。

学問内容の「不認可」は「警察立ち入り」以上の自由侵害

しかし、そんな中でも「学問の自由」への侵害は、現在進行形で行われている。2015年開学を目指して設置認可を申請していた「幸福の科学大学」が、文部科学相から開学を「不認可」と判断された。その理由は、大川総裁が行っている「霊言」について、「霊言が根底にある教育課程は大学教育において認められない」というものだった。

本来、学問の有用性や妥当性を決めるのは、時代の風潮でも、政府でもない。今回の措置は、学問内容を理由に大学を作らせないという、「学問の自由」の侵害そのもの。こうしたことがまかり通るなら、今後出てくる新しい学問も、簡単に弾圧されることになるだろう。(光)

【関連サイト】

幸福の科学公式サイト (異議申立書、プレスリリースをアップ中)

http://info.happy-science.jp/2014/12003/

【関連記事】

2014年11月7日付本欄 【速報】設立不認可の「幸福の科学大学」が、文科相に異議申立 「不認可の撤回と、改めて認可を求める」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8697

Web限定記事 幸福の科学大学開設「不可」の背景にある自民党政治家たちの思惑

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8679

2014年10月29日付本欄 「幸福の科学大学」開設不可 大学設置審が文科相に答申

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8660

2014年9月3日付本欄 「幸福の科学大学開学を求める嘆願書」が5日間で17万筆超 国民の声に答えよ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8375