自身の余命が半年であることを受け、11月1日に尊厳死を予告していたアメリカ人の女性が新たな動画をネット上で公開した。この中で尊厳死のタイミングを延期すると示唆していることを、AFP通信などが報じている。

この女性は29歳で、末期の脳腫瘍と診断されている。尊厳死が認められている米オレゴン州で、病状が悪化する前に服薬によって自ら死ぬことを予告していた。女性はまだ十分に気分がよいために尊厳死を延期するとしているが、「体調が悪化していると感じるので、いつかはその日が来る」と、実行の意思は変わらないことも表明している。

女性が尊厳死を選んだ理由については、10月14日付米CNNのWEBサイトに寄稿した文章で、終末期の苦しみを避けるためと説明。「苦痛を緩和させる治療であっても、モルヒネが効かない痛みが伴うこともあるし、さまざまな人格に変化し、言語・認知・運動機能障害に苦しむ可能性がある」としている。家族に苦しむ自分の姿を見せたくないと希望している上に、苦しまずに死ねることは、彼女の心のやすらぎになっているという。

この女性の選択に関しては、「死を選ぶ権利がある」「自殺を美化してはいけない」など、賛否両論が沸き起こっている。

尊厳死には様々な考え方があるが、その前提としては、人間の生命に関する宗教的な見方を押さえておく必要があるだろう。

人間の本質は魂であり、霊界からこの世に生まれて様々な経験をして魂を磨いている。人生の苦しみである「病気」は、予定として織り込み済みで生まれてくる場合もあるし、自らの心の葛藤や苦しみが現象として現れていることもある。いずれにしても、病気は人生修行の一つであり、本人のみならず周りの人にとっても学びの機会であるのだ。

こうした霊的人生観を踏まえた上で、死期が近づく中、必要以上の延命治療をしないことや尊厳死を選ぶことは、必ずしも非難されるものではないかもしれない。

ただ、医師の余命宣告はあくまで平均であり、末期がんと診断されて余命宣告を受けても、何十年も生き続ける人もいれば、奇跡的に回復する人もいる。病気の原因になった心の葛藤を取り除くことで、人間は自分で病気を治すことができるのだ。

こうした真実を知らず、人間の魂や霊界の存在を信じていない人が単に苦しみから逃避するために選ぶ死であれば、再考の余地があるだろう。生きること、死ぬことの意味を改めて考えさせられる。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ザ・ヒーリングパワー』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1224

幸福の科学出版 『死んでから困らない生き方』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=62

【関連記事】

2014年9月1日付本欄 寿命は神仏の「慈悲」 仏研究チームが寿命延長を阻む「目に見えない壁」を確認

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8366

2006年5月号記事 笑って死ねる「往生際」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=341

2014年8月23日付本欄 安楽死目的でスイス渡航者が急増 生命倫理の善悪は動機と人生観が決める

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8337