日銀は2013年4月以来始めて、追加の金融緩和を発表したが、効果はあるのだろうか。

日銀は、国債などを銀行から買い入れることで、発行したお金を市場に流している。今までそのペースは、年間60兆~70兆円だった。今回の追加緩和では、それを年間80兆円まで加速させる。突然の発表に国内外は驚き、株価などが上昇した。

これは、決して「景気のいい」話ではない。

前回の金融緩和があまり効いていないため、フォローとして、"緊急対応的"に追加緩和を決めたにすぎない。物価上昇率は、9月で1%増だった(前年同月比・生鮮食品・消費増税分除く)。金融緩和の目標であった「2%」に遠く及ばない。

実体経済も危機的状況にある。総務省が発表した9月の家計調査によると、世帯当たり消費支出は、前年同月比で5.6%減っている。6カ月連続のマイナスで、減少幅も拡大している。サラリーマン世帯の収入も、9月で実質6%減。12カ月連続の減少だ。厚生労働省が発表した9月の有効求人倍率も悪化し、失業率も2カ月ぶりに悪化し3.6%となった。

この結果は最初から見えていたものだ。

大川隆法・幸福の科学総裁は、今年1月の時点で、アベノミクスは「もう一歩で成功するところだった」としつつも「失敗」と判定した(参照:『忍耐の時代の経営戦略』)。

そもそも金融緩和は、民間企業がお金を借り、新たな設備投資をすることで、景気を回復させようという試み。その肝心な民間企業に、お金が回っていなかった。

最大の原因は、消費増税だ。需要が冷え込むことを懸念して、企業も個人も備えに入った。そこに日銀が「どんどん使ってもいいよ」とお金を刷ったところで、事業を成功させる見通しのない民間企業が、安易にお金を借りられない。銀行側も、怖くて貸せない。

今回の追加緩和も、同じ結果に終わるだろう。特に今は、消費税のマイナス影響が、以前よりも周知されている。そんな中、再増税が待ち受けている。今回、延期が判断されても、景気が回復したとたん、再増税は行われる。しばらく景気が上向く見通しはない。企業は今まで以上にお金を借りず、守りに入っている。

上記の指標を見ても、アベノミクスが実体経済に影響を与える前に、増税をしたダメージの大きさがわかる。今のところ「金融緩和」は、株価上昇という目に見える成果を見せた、アベノミクス「唯一の矢」と言える。しかしそれ単体では、実体経済が上向かないことが証明されている。安倍晋三首相は、自身の経済政策を、もう一度整理する必要がある。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『忍耐の時代の経営戦略』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1142

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2014年11月号記事 The Liberty Opinion 海外紙が一斉に懸念し始めた消費増税10%の破壊力

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2013年12月号記事 「税と社会保障の一体改革」という幻想 (Webバージョン) - 編集長コラム

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