総務省が31日に発表した9月の家計調査で、消費支出が前年同月比5.6%減したことが分かった。消費増税を行った4月以降では6カ月連続のマイナス。与党からは再び消費増税を実行することに対する慎重論も上がっているという。

この消費の落ち込みに対し、甘利明経済再生担当大臣は、家庭消費の落ち込みは所得の少ない人たちが消費を絞っているためだとして、「企業業績の改善が賃金に回るように」と、進まない賃上げを後押しした。しかし完全失業者数は2カ月ぶりに増えており、これ以上の賃上げはリストラ増につながるおそれもある。

そんな中、政府が再増税に対する景気対策に3~4兆円を投入する方針を固めたと31日付の各紙が報道。農家や燃費対策、低所得者対策などについて予算を編成するというが、これらは何としても消費増税を実行するための施策に見える。

さらに、日銀も動いた。31日には、日銀が中長期国債の買い入れを現在の年間50兆円からさらに30兆円増やす追加緩和を発表。「デフレマインドの転換が遅延するリスク」を防ぐため資金供給を続けるためと説明された。31日の日経平均株価は年始以来最高値となり、一時は1万6500円台を超えた。

ただ、31日付読売新聞に寄稿した早稲田大の若田部昌澄教授は、社会保障と税の一体改革関連法を改正してでも10%への消費増税は延期すべきと指摘している。8%への増税後、物価は上昇しているが、大半は消費増税分であり、物の価値が上がったわけではないという。また、13年度はアベノミクスで税収が増えたが、14年度は増税後、いい景気指標が少ないことを挙げ、10%に増税すれば景気は更に落ち込むおそれがあるとしている。

消費増税以後、今年4-6月期のGDPは前年比マイナス7.1%となっており、増税で消費が落ち込んだのは明らかだ。さらなる増税をすれば、金融緩和をしたとしても焼け石に水となり、経済は成長しない。すると結果的に税収が減り、消費増税の根拠だった社会保障も安定しなくなるだろう。日本経済にとどめを刺す前に、消費増税は延期を決断すべきである。(晴)

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2014年11月号記事 海外紙が一斉に懸念し始めた 消費増税10%の破壊力 - The Liberty Opinion 2

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