米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)がこのほど、「日本の分裂した教育戦略」と題して、「日本が教育の国際化を進めながらも、愛国的な教科書に書き換えることで、中国・韓国からの反発を招き、同盟国のアメリカからも失望されている」と批判する記事を掲載した。

記事の中では、「安倍晋三首相を筆頭とする日本の保守派が昨年、戦時中の歴史を謝罪色がより薄いものに書き直すという行動指針をもって、政権を取り戻した」と分析。「検定を通過した教科書には、南京大虐殺の死者数を抑制的にし、(南京大虐殺ではなく)『(南京)事件』にしているものもある」と、行動方針が具体化した例を挙げた。

また、安倍首相が進める、外国人の大学教員の採用などの「内なる教育制度の国際化」とは裏腹に、「中韓は、日本の愛国心の高まりが、ナショナリズムや戦時中の残虐行為を曖昧にした歴史を教えることに繋がることを懸念している」と指摘。このやり方には、アメリカの専門家からも批判があるとしている。

だが、愛国心を捨て去り、南京大虐殺や従軍慰安婦など、正しく検証されていない「嘘の歴史」を教えてきた、これまでの日本の教育方針こそ問題だ。

健全な愛国心を育む教育は、どこの国でもやっていることであり、それは中韓米でも同様のはず。もちろん、愛国教育が他国民を蔑視する方向に向かわないために、国際的な見方を同時に教えることも忘れてはならない。

そもそも、米紙が主張する「中韓に配慮した教育」自体が、「内政干渉の結果である」と言わざるを得ない。客観性を担保すべき歴史教育に対し、戦前の日本を悪者にしておきたい政治的意図を持った意見を取り入れるべきではない。その意味で、自虐的な歴史を書き換えようとする動きは当然である。

歴史の客観性を追求する姿勢は、右傾化でも左傾化でもない。教育において大切なのは、中韓への過度な配慮ではなく、どこの国の人に対しても人間として敬意を払う姿勢だ。(山本慧)

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