文部科学省の調べによると、2013年度の小学校でのいじめの認知件数が約11万9千件と、過去最高を更新した。児童生徒が生命身体に大きな被害を受けるいじめを「重大事態」と規定し、加害者に対する罰則を明記した「いじめ防止対策推進法」が昨年9月に施行されたことが、認知件数の増加に影響していると思われる。17日付各紙が報じた。

17日付日経新聞によると、文科省は件数の増加について、「学校などが掘り起こしを進めた結果」だと評価している。一方、都道府県教委からは「感情をコントロールできない児童生徒が増えている」との声が多く届くという。

以前から本誌が指摘してきたように、現場を知る専門家の目から見ると、これまでのいじめの認知件数は、実際の数に比べて少なかった。認知件数が増えるのは実態に近づいていると言うことができ、問題の存在を明らかにしたという点では前進した。

ただ、教委側が「感情をコントロールできない児童生徒が増えている」と説明するのは、いじめの増加を自然現象のようにとらえ、子供に責任を転嫁しているようにも感じられる。子供が感情をコントロールできるようになるためには、まずは善悪の基準を教える必要がある。

政府は学校のカウンセラーを増やすことで子供のストレスをコントロールし、いじめを未然に防ぐことを目指している。しかし、相手の話を受け入れる「傾聴」を主な仕事とするカウンセラーが善悪を教えるのは難しいだろう。「子供に寄り添う」という方針は一見優しいように見えるが、それが子供にとって本当の幸福につながるとは限らない。

いじめの解決には、校長などの責任者が強い意志を持って、いじめを許さないという姿勢を貫くことが重要になる。現在の「いじめ防止対策推進法」には、いじめをした子供への罰則は設けられたが、いじめを隠ぺいした教師や校長などを罰する規定がない。いじめ問題解決の責任は、いじめた子供はもちろん、それを放置し続けている教師や校長などにもある。

大川隆法・幸福の科学総裁が2007年に本誌上で提言した「いじめ処罰法」は、第3条に「教員が、いじめ行為に加担、黙認、参加した場合は、厳罰に処す」などの規定を盛り込んでいる。学校側は責任を持っていじめを解決するべきだし、そのためにも「善悪とは何か」を教えるという教育者としてのもっとも大切な責任を果たさなくてはならない。「善悪の基準」を教えるためには、道徳教育・宗教教育の導入も必要となる。

いじめは自然現象のように増えるわけではない。さまざまな要因はあるだろうが、責任の一端は学校側にもある。教育関係者には、「善悪の基準」を明確に教え、いじめを根絶しようとする強い意思を持つことを求めたい。(居)

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