韓国で行われている人種差別や外国人排斥などの問題を巡り、国連が先月末から1週間の予定で調査員を派遣して実態調査を行った。このほどAFP通信が報じた。

韓国の人種差別の実態としては、次のような事例がある。フィリピン出身で同国に帰化し、2012年の総選挙で当選したセヌリ党の女性議員イ・ジャスミン氏に対し、韓国の有権者はインターネット上で「不法滞在がはびこり、花嫁売買が増える」と差別的な攻撃を行った。

韓国の野球球団「ロッテ・ジャイアンツ」に所属する黒人投手に対して、相手チームの韓国人選手が「肌が黒くてボールが見えづらい」と発言したり、ある飲食店が「エボラウィルスが流行しているため、アフリカ人のお客様はお断りします」という告知をした悪質な人種差別の事例が紹介されている(9月12日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

同紙では、こうした韓国人の差別に対して、「韓国人は経済力に基づいて人種差別を行っており、韓国と比べて経済力が低いアジアの国々が差別対象になる傾向がある」と分析。延世大学のキム・ヒョンミ教授も、「韓国では経済力が、先進国であるかどうか判断する基準とされている」と指摘している(10月1日付AFP)。

もちろん、先進国であるかどうかを測る指標は、「経済力」だけではないはずだ。例えば中国は、GDPは世界2位に躍り出たと言われているが、国民に自由を与えず、周辺諸国に対しても人権弾圧を繰り返している。こうした行為に対しては国際社会からの批判も高まっており、本当の意味で、先進国と呼ぶには値しない。

先進国という定義には、人権思想に基づく自由や民主主義的価値観を尊重する国であるという意味も含まれるはずだ。他国の模範であることが求められ、多様な価値観を受け入れようとする寛容な心を育むことが大事である。

韓国のシンクタンクである峨山政策研究院のキム・チユン氏はAFPの取材に、「人種差別の原因は国民の人種差別に対する知識不足によるもの」と述べているが、差別を生みだす「異質なものを排除しようとする非寛容な心」こそ問題であろう。

人間は仏性や神の息吹と呼ばれるものを宿す存在であるという宗教的真理に、人種平等の根拠がある。いま韓国に必要なのは、宗教心に基づく「正しい価値観」と言える。(冨)

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