カナダの運輸会社Fednavが運用している日本製の貨物船がこのほど、初めて砕氷船なしで北極海航路の一つである北西航路の通過に成功した。

北西航路とは、北アメリカ大陸の北方の海域を指し、大西洋と太平洋を結ぶ航路である。近年、北極海の氷が薄くなっており、運輸航路として使用できるのではないかと注目を集めている。

今回使用された航路は、西ヨーロッパから東アジアまで貨物を運搬する際、既存の航路より4000キロも短い。これは大西洋・太平洋を横断しなければならないパナマ運河経由の航路よりも、40%も短い計算となる。

この航路の使用は、燃料費の削減、時間の短縮、パナマ運河やスエズ運河を通れない大型船の通過が可能になるなど、多くのメリットがある。また、去る2012年、ロシアの北方の北東航路を経由して、ノルウェーから日本へ液化天然ガスを輸送することに成功したが、この航路はスエズ運河を使用した航路より7000キロ(50%)も短い。

だが今のところ、これらの航路は、1年の内、氷のない2~3カ月間しか使えず、浅瀬が多く、港も少ない海域のため、不便も多い。もし北極海航路が年中使用できるようになれば、運送時間の短縮やコストの削減から来る経済効果は莫大なものとなるだろう。

北極海航路の開発には領海権問題などもつきまとい、それらの協議のため、北極に隣接する国々によって北極評議会が設けられ、同航路の使用に関心を持つ日本や中国もオブザーバーとして参加している。

日本へ続く海上交通路(シーレーン)を見てみると、スエズ運河や南シナ海など、地政学的に不安定な海域が多く、日本は運輸航路の多様化によってリスクを分散する必要性に迫られている。

今後は、その特殊な地形・気候ゆえ、石油プラットフォームやナビゲーション施設の改良など、技術的な課題を克服していく必要がある。

日本は高い技術力を駆使して、日本の生命線であるシーレーンの選択肢を増やすべきだ。また、それに伴う世界経済への貢献をアピールするチャンスでもある。(中)

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