ノーベル平和賞の予想を行っているノルウェーの「オスロ平和研究所」は3日、来週発表されるノーベル平和賞の最有力候補に、「憲法9条を持つ日本国民」を挙げた。

これは、神奈川県の市民団体が署名活動などで賛同を集め、国内の大学教授らがノーベル平和賞選考委員会に推薦していたもの。今回の予想理由に関して、オスロ平和研究所のハルプビケン所長は日本のメディアに、「ウクライナや東アジアなど各地で緊張が高まっている今こそ、日本の憲法9条の価値が国際的に認識されるべきだ」と語っている。

しかし、もし「憲法9条を持つ日本国民」が受賞することになれば、平和賞の選考委員会は、日本や東アジアの平和を脅かす動きに加担することになる。

憲法9条の存在は、明確な勢力拡張を意図している中国にとって、好都合だ。日本に圧力をかけ、侵略行為をするリスクが減る。だから中国は、「南京大虐殺」などを捏造し、先の大戦に関する日本の罪悪感を煽っている。日本の左翼による「9条を守ろう」という運動や世論が根強ければ、日本はいつまでも無防備でいてくれるのだ。

安易な「平和主義」が、逆に平和を失わせた例は過去にもある。チベットは1965年に中国に編入され、今も人権弾圧や民族浄化に苦しんでいる。ダライ・ラマ法王のアジア・太平洋地区担当代表などを務め、日本に亡命したペマ・ギャルポ氏は、本誌の取材に対して、「チベット側の反省点を挙げるとすれば、『仏教を強く信仰し、平和を望んでいれば、平和になる』と、一国平和主義の立場をとっていたこと」と語っている。チベットの悲惨な結果を知っていれば、平和主義を貫いていた同国に、間違っても「平和賞」を贈るようなことはできないだろう。

「左翼平和主義」に関して、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』の中で、こう述べている。

「大きな軍を持っているところが一方的に相手を攻撃し、屈服させることだけを考え、『それに従うことが平和だ』と言うのであれば、もはや、"バビロン捕囚"もあれば、"エジプトの奴隷になるユダヤ人"もありえるし、"ゲットー(ナチスの強制収容所)に囚われたユダヤ人のガス死"もありえます。(中略)『隷属への道』を平和とする考え方があるならば、それは間違いであって、基本的に、『自由を取り上げていく政府は、悪い政府なのだ』ということは知っておいたほうがよいと思います」

中国が勢力を広げれば、多くのアジアの人々が、言論の自由や表現の自由を失うことになる。その動きに対して無防備であることを「平和」と呼ぶならば、それは悪を助長する「奴隷の平和主義」だ。これは、2010年に中国の民主化を求める人権活動家・劉暁波氏に平和賞が贈られた主旨とも反する。正義や自由という観点のない「平和論」は一貫性がなく、結果的に多くの不幸を生むものとなる。日本とアジアの自由と平和のためにこそ、憲法9条は変えなければならない。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』 大川隆法著

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