長野県と岐阜県にまたがる御嶽山の噴火で、政府は、輸送ヘリコプターや装甲車を含む550人体制の陸上自衛隊を投入、懸命な救助活動を続けている。だが、ジャーナリストの江川紹子氏が、自衛隊の災害派遣に否定的な内容をツイッター上に投稿したことで、ネットユーザーの間で物議を醸している。

江川氏が、「なぜ、御嶽山に自衛隊派遣なんだろ…。人が必要なら、むしろ警視庁や富山県警の機動隊や山岳警備隊の応援派遣をした方がよさそうな気もするが…。」と投稿。すると、これに対して、軍事専門のあるブロガーが、「火砕流に巻き込まれても平気な装甲車両を持っているのは、自衛隊だからじゃないかな。(1991年に噴火した)雲仙普賢岳では活躍しましたよ」と返信した。

これを受けて、江川氏は「装甲車や戦車は、火砕流に勝てません」と送ったが、再び「装甲車はハッチを占めていれば火砕流にも耐えられますし、大きな噴石も装甲で跳ね返します。江川さんの勧めるような警察や消防の車両ではどちらも無理なんじゃないかな」と反論された。

他のツイッターからも知識不足を指摘された江川氏は、「私の無知から生じたもの」「自衛隊を災害で派遣することに反対しているわけではない」などして、自身の投稿を一部削除し、"釈明ツイート"に追われた。

現場にたちこめる有毒ガスへの防護能力や、高度約3000mでの救助活動という現状を考えれば、自衛隊の投入は当然のこと。自衛隊は、建設から発電などのインフラ整備、衣食住を提供できる「自己完結能力」を持つ組織。東日本大震災でも示されたように、大規模な救助活動に対して継続的に対処できる唯一の存在だ。もし、県警や消防だけに救助を託せば、派遣された救助隊員の生命が危うくなるだろう。

そもそも、自衛隊の災害派遣を否定する風潮の底流には、「警察がいるから、自衛隊はいらない」という左翼的な発想が流れているのではないか。多くのマスコミが自衛隊の活躍を積極的に報じない背景も同じようなものではないか。

命を賭けて国を守る軍人の社会的地位が高く、尊敬されるのは、世界の常識である。そうであってこそ、軍人は命を賭けて職務にあたることができる。日本人も平和ボケから脱し、マスコミは救助する自衛隊の活躍ぶりを伝え、国民の知る権利に奉仕するべきだ。一人でも多くの生存者が救出されることを願う。(山本慧)

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