沖縄防衛局がこのほど、米軍普天間飛行場の移設に向けて、移設先の辺野古周辺の海で海底調査を始めた。これを報じた東京新聞(18日付)は、基地移設に反対する立場のためか、辺野古沖合にジュゴンと見られる海獣が現れたと報じた。読者に「埋め立て工事は環境悪化を招く」と想起させる狙いがあると見られる。

辺野古の埋め立て工事は昨年末、仲井眞弘多県知事が、政府の埋め立て申請を承認したことで進められた。政府は、5年間で埋め立て工事を終わらせ、22年度以降に普天間基地の返還を目指している。ただ、11月に予定している県知事選で、基地移設の可否が問われる公算が高く、この結果次第では計画がずれ込む可能性がある。

辺野古への移設は、米軍基地キャンプシュワブ内に移設されるもので、周辺には住宅地が少ない安全な場所だ。また、移設に伴い、嘉手納飛行場から南にある補給地区などの5つの拠点も返還され、他の基地などに集約される。つまり、普天間基地の危険性が除去されるばかりでなく、他の土地も返還される上、軍事的にも効率化が進む理想的な計画といえる。

だが、こうした事情を報じない朝日新聞などは、「周辺に生きるサンゴや魚などに大きな影響が出るのではないか」という自然保護団体の声を紹介し、基地建設が生態系の破壊を招きかねないと報じる(13日付電子版)。

確かに沖縄返還後には、北谷や糸満などの干潟が消失し、赤土の汚染が深刻化した。しかし、この原因は、港や漁港などのインフラ整備によるものであって、基地の問題ではない。もし、埋め立て反対の理由が環境保護にあるなら、辺野古だけをターゲットにするのはつじつまが合わない。

さらに、左翼紙は、普天間基地の危険性を指摘しておきながら、その危険性が除去される辺野古移設について、ジュゴンやサンゴまで取り上げて反対の論陣を張っている。主張が一貫しておらず、良識あるマスコミの報道姿勢とは思えない。これでは、反対だけを叫ぶ市民団体の運動と変わらない。(山本慧)

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