来日中のモンゴルのエルベグドルジ大統領と安倍晋三首相は首脳会談で、日本とモンゴル両政府が交渉していた経済連携協定(EPA)について大筋で合意した。関税撤廃のほか、モンゴルが期待する日本企業のモンゴル進出をしやすくするための取り決めなども盛り込まれる。

この交渉は2012年から続いていたもの。日本からの自動車輸出にかかる関税については、今後10年以内にほぼ撤廃することとなった。また、モンゴルが求める牛肉などの農産品の関税撤廃についても、一部日本が受け入れることで合意した。

モンゴルが他国とEPAを結ぶのは日本が初めてだ。モンゴルには、中国とロシアに経済的に依存した状況から脱却するためにも、他国との貿易を活発にしたいという狙いがある。現在、モンゴルの輸出総額の86%以上を中国向けが占めており、輸入でも、1位の中国と2位のロシアとを合わせると総額の50%以上になる。

また、モンゴルは親日国であり、モンゴル国内で2005年に行われた世論調査では、72.8%が「日本に親しみを感じる」と回答。「今後最も親しくすべき国」のトップにも日本の名前が上がった。1990年の民主化以降、市場経済に移行する過程で、日本は教育やインフラ整備などで大規模なODAを行ってきており、モンゴル国内のテレビなどが日本の支援を頻繁に取り上げていることも理由のひとつだろう。

一方、日本にとっても、モンゴルは外交面で重要な国だ。モンゴルは北朝鮮と国交があり、拉致問題の解決に関しても日本政府に協力を申し出ている。朝鮮半島の非核化に向けても協力する意志を示しており、日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りも支持。日本が国際社会での影響力を強めることに大きな期待を寄せているのだ。

このように、日本とモンゴルの関係強化は、相互にとってプラスになる。さらに、中国と国境を接するモンゴルとの関係は、対中包囲網を築く上でも大切だ。中国の軍事的脅威にさらされているアジア各国の安全保障を強化する観点からも、日本とモンゴルの協力が進むことを期待したい。(晴)

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