2014年9月号記事

The Liberty Opinion 1

「中国崩壊」を期待するより日本の国防を盤石に

天安門事件から25周年の2014年6月4日、北京・天安門広場周辺で警備にあたる警察官。写真:AFP=時事

経済的にも軍事的にも拡張を続ける中国だが、同時にさまざまな「崩壊論」もささやかれている。

「バブル崩壊で中国経済は恐慌に陥る」「権力闘争や軍部の暴走で内乱状態になる」「民衆の不満が爆発して収拾のつかない暴動が起こる」など、さまざまなリスクが評論家の間で取り沙汰されている。公害・環境問題も極めて深刻で、中国崩壊はいつ起きても不思議ではないように見える。

楽観論で国防の手を抜くな

しかし、大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『「集団的自衛権」はなぜ必要なのか』の中で、中国崩壊論には「『(中国が) 勝手に崩壊してくれれば、日本側からは、戦争も何もせず、何もいじることなく、問題解決する』という希望的観測も入ってはいる」 と看破。中国は経済危機で崩壊するより前に、他国から資源を収奪することを目指している、と指摘した。

実際に習近平・国家主席は、「先軍思想」を掲げた毛沢東路線への回帰を目指している。その毛沢東は、数千万人の国民を餓死させてでも核開発、軍事力の強化を優先させた。

中国が今、パラセル諸島海域での石油掘削など、南シナ海・東シナ海の資源略奪を狙っているのは周知の通りだが、すでにインド洋にも進出してスリランカに巨大港湾を建設するなど、軍事拠点を着々と増やしている。強硬なまでの海洋進出は、これまでの軍事への投資を、周辺国からの資源収奪で回収することが急務だからだ。その習氏の強硬な姿勢は、毛沢東のそれと重なる。

また、大川総裁は、民衆の蜂起も現実には鎮圧される可能性が高いと分析する。

習氏は、情報公開をきっかけに崩壊したソ連を“教訓"にして、徹底した情報統制を行っている。今年3月には、「中央インターネット安全・情報化指導グループ」を新設し、自らトップに就任した。

また、中国共産党は、6月で天安門事件25周年を迎えたが、事件に関して何ら検証や情報公開する姿勢を見せず、政府への抗議活動を厳しく取り締った。

民族弾圧に反発するウイグル自治区での爆発事件なども、「テロ行為」として公開裁判で死刑判決を下すなど、一党独裁体制維持のためなら、粛清も厭わない姿勢も毛沢東の時代と同じだ。

中国国民を解放せよ

日本はやはり、「中国崩壊」に望みを託すのではなく、自国の安全保障を磐石にすべきだ。

同時に、世界の民主主義国が団結して、中国に民主化を働きかけるべきだ。一党独裁の下、信教の自由・言論の自由などが奪われている中国国民を解放し、国際社会で共存する道を模索する必要がある。日本はアジアのリーダーとして、その役割を担うべきだ。