【中東レポート】イランに新しい「自由の革命」は起きるか

【中東レポート】イランに新しい「自由の革命」は起きるか

 

2014年8月号記事

 

 

中東レポート

 

HS政経塾1期生 幸福実現党山形県本部副代表

城取良太

(しろとり・りょうた)1977年東京都生まれ。2000年、成蹊大学経済学部卒業後、人材コンサルティング業界2社を経て幸福の科学に奉職。10年にHS政経塾に第1期生として入塾。13年に卒塾し、現職。

Webチャンネル「中東熱風録」で中東情報を発信中。

イランに新しい「自由の革命」は起きるか

 

イスラム教スンニ派の過激派組織の台頭で、内戦状態に突入しつつあるイラク。事態の悪化を懸念aするアメリカは、核問題で対立するイランと軍事協力も辞さない姿勢を示す一方、スンニ派国家のサウジアラビアは警戒感を強めている。混沌とする中東情勢のカギを握るシーア派大国イランの現状と展望について城取良太がレポートする。

 

 

 イランと聞くと、「核開発」を思い浮かべ、「危険な国」という印象を抱くかもしれない。今回、2回目のイラン訪問となったが、イランの友人と訪れたカフェでは、若者グループやカップルが楽しそうに時を過ごしていた。

 ビデオ撮影をしていると、若者たちが近づいてきて、にこやかに「モルシ、ソーバッド」「シシ、ベリーグッド」と前国防相シシ氏への支持を訴えた。私は12年にエジプトに留学していたが、当時の喧騒がウソのように、穏やかな時間が流れていた。

 

 

 

イスラム体制で制限される自由

大勢の人でにぎわうバザールの様子。女性には自由な服装が許されず、スカーフの着用が義務付けられる。(筆者撮影)。

 だが、「自由が制限されている国」ではある。政府への批判などは許されず、街頭でインタビューしようとしても誰も答えてくれない。海外メディアのサイトにアクセスすることも容易ではない。女性にはスカーフの着用が義務付けられ、街中で女性の服装を取り締まる警察官の姿を多く見かけた。

 こうした自由の制限は、イスラムの厳しい戒律に基づくものだ。そのため、若者の間では、宗教全般に対する嫌悪感が広がっている。貿易会社に勤務する20代の男性によれば、最近では、「神は死んだ」との言葉を遺したニーチェの思想に心酔する若者も増えているという。

 宗教国家において、無神論・唯物論の若者が増えていることは皮肉な結果だ。

 

 

「湾岸の憲兵」から反米国家へ

 70年代までのイランは親米国で、欧米的価値観に基づく自由があった。「湾岸の憲兵」と呼ばれ、中東の安定に一定の役割を果たしてもいた。一方で、独裁的傾向を持つ王政と、アメリカの過度の内政干渉への不満が、民衆の間に広がっていった。

 そんな中、王政への批判と反米思想を煽り立てたのが、イランの初代最高指導者ホメイニ師である。彼は「イスラム法学者による統治論」を説き、国民に、イスラム教徒としてのアイデンティティを呼び覚ました。

 1979年、ホメイニ師を精神的指導者としてイラン革命が起きる。同年に起きた米大使館人質事件が決定打となり、アメリカとの国交は断絶した。

 

 

イラン革命がもたらした宗教対立の激化

 このイラン革命は、中東情勢に大きな影響を与えた。

 まず、スンニ派とシーア派の宗教対立の激化だ。イラン革命の主体は、シーア派の法学者だった。ホメイニ師が掲げた「革命の輸出」という方針は、中東諸国で抑圧されていたイスラム教シーア派の人々を奮い立たせた。 イランがシリアのアサド政権を支持するのも、イラクに部隊を派遣するのも、シーア派勢力を守り、スンニ派の勢力拡大を防ぐ狙いがある

 またイラン革命は、イスラエルとの対立構造もつくりだした。その象徴が、イスラエルの隣国・レバノンにあるヒズボラの存在だ。ヒズボラとは、イラン型のイスラム共和国を樹立することを目的に設立されたシーア派の武装組織である。2006年のイスラエルによるレバノン侵攻は、ヒズボラを支援するイランとイスラエルの代理戦争だったと言われる。

 イランの核開発も、核保有国とされるイスラエルに対抗するためだ。だが、イランが核を持てば、スンニ派国家であるトルコ、エジプト、サウジアラビアも核開発を進め、多くの核保有国をつくるきっかけとなるだろう。

 アメリカによる経済制裁と国際的孤立の危機により、昨年6月に就任したロウハニ大統領は、表向き核開発を否定。経済制裁を一部緩和させた。とはいえ、イラン経済は依然として厳しい状況に置かれている。日本のメディア関係者は、「制裁緩和は超限定的。一部、航空部品の輸出が認められるだけで、金額としては数千億円程度」と言う。

 

 

日本がイランに果たすべき役割

ロウハニ大統領(右)と、第2代最高指導者のハメネイ師。ロウハニ大統領のスピーチに対し、ハメネイ師が真逆の見解を発表するよう指示を出すケースがたびたび見られるという。「イスラム法学者による統治」が徹底されている一例だ。

 アメリカから"自由"になろうとしたイランだが、厳格なイスラム法による統治は、国民の自由を抑圧し、周辺諸国との軋轢を生んだ。

 政府系企業に勤務する20代男性は、「ロウハニ大統領に権力はない。力を持っているのはハメネイ師(現最高指導者)だ」と囁くように語ってくれた。結局、厳格なイスラム教を自由と寛容を尊重する宗教へとイノベーションすることが、イランの現状を打開する鍵となるだろう

 幸い日本は、中東諸国に嫌われていない。イラン人は、日露戦争に勝利した日本を尊敬している。30年前にヒットした「おしん」は、勤勉な日本人を象徴するドラマとして共感を呼び、イランでの最高視聴率は90%を超えた。

 日本は、アメリカと共に制裁に加わるだけではなく、欧米とイラン、スンニ派とシーア派の仲介に入るくらいのリーダーシップを発揮したい。日本には、イランに新しい「自由の革命」を起こす力がある。

 

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タグ: 2014年8月号記事  イラン  ホメイニ師  革命  湾岸  

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