中国の国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局は、このほど、全国の報道機関に対し、本社の同意を得ずに当局批判報道を行うことを禁じる通達を出した。新華社電が報じている。

現在中国は、環境汚染や自由の抑圧、所得格差の拡大などといった国内問題に悩まされ、国民の不満が高まっている。批判報道を抑え、中国共産党を守るため、言論の自由は次第に抑圧されている。

昨年1月には、中国の週刊紙「南方週末」の新年号の記事が、民主化を求める内容から中国共産党を賛美するものに書き替えられた。

さらに昨年10月には、同じく国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局が、国内の新聞やテレビなどの記者に対し、マルクス主義などを学ぶ研修を義務付け、統一の免許更新試験を実施する方針を出した。

国境なき記者団が毎年発刊している「世界報道自由ランキング」の2014年版によると、中国の報道の自由度は、180カ国中、175位。報道が厳しく制限され、「非常に深刻な状態」に分類されている。

今年、天安門事件から25年経ったが、中国政府は事件後に徹底した報道規制を敷いて事件そのものを隠蔽した。未だに、正確な死傷者数すら分からず、事件があったことすら知らない若い世代が増えているという。また、天安門事件のリーダーたちは、事件後に海外に亡命し、未だに中国に戻れないでいる。

幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、著書『政治哲学の原点』で、「民主主義の中心的な担い手になるべき人々は、やはり、『考える人』でなければならない」と説いている。

かつてのソ連は、グラスノスチで言論・報道などの自由化を進めた結果、共産主義体制が崩壊した。

中国共産党も、国民に正しい情報が与えられ、一人ひとりが「考える人」となり、体制が崩壊することを恐れているのだろう。

だが、各自の好みや考え方はさまざまである。多様な人間がいて、多様な考え方があることを前提とするならば、言論や報道の自由、その基礎となる思想・信条、信教の自由を保障しない限り、人々を幸福にすることはできない。

国民をひとつの価値観で染め上げることには限界が来ている。また、そうした国家が、国際的に「大国」や「リーダー国家」となることもない。

中国が真の大国となりたければ、国民に自由を与えるべきだ。(冨)

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