2014年7月号記事

Part 3

ロシア人の9割が「日露関係は重要」と考えている

日本人にとって、「北方領土」「シベリア抑留」「スパイ国家」など、マイナスイメージが強いロシア。

パート3では、それとは正反対の、ロシア側の日本のイメージと、北方領土返還の可能性について探る。


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ロシアの主要な天然資源の分布。石油・天然ガスはもちろん、鉄や銅、金などの鉱山や、ニッケル、コバルト、タングステン、白金などのレアメタルやレアアースも豊富だ。

ロシア最大のダイヤモンド採掘都市である、ミールヌイのミール鉱山。

シベリア鉄道を利用すれば、ロシアはもちろん、ヨーロッパとの交易も活発にできる。シベリア鉄道を日本まで接続すれば、利便性はさらに高まるだろう。

多くの日本人にとって、ロシアは遠い国というイメージがあるだろう。内閣府の調査(注4)でも、日本人の約75%がロシアに「親しみを感じない」と答えている。その最大の原因は北方領土問題ではないか。

終戦のどさくさにまぎれてソ連が北方四島に侵攻し、現在もロシアが実効支配している。1956年の日ソ共同宣言で、「両国間の平和条約を締結したら、色丹・歯舞諸島の2島を返還する」ことで合意したが、日本側は4島の一括返還を求めており、いまだに日露間で平和条約は締結されていない。

終戦後、日本人捕虜が過酷な労働を強いられたシベリア抑留や、冷戦時の対立も、ロシアの印象を悪くしている。

親日家が多いロシア

ところが、今のロシアは知られざる親日国だ。日本の映画や小説、アニメなども大人気で、日本語学習も盛ん。モスクワには多くの寿司屋や日本のうどん屋チェーンなどが店舗を構える。

日本の外務省がロシア人を対象に行った調査(注5)では、90%が「日露関係は重要」と答えており、両国の関係を「良好」と評価した人は73%に及ぶ。

プーチン大統領も柔道家として知られ、インタビューで「日本の文化は世界の財産」と語るほどの親日家だ。2020年の東京五輪招致の際には、自国だけでなく、他国の国際五輪委員にも東京に投票するよう働きかけるなど、協力を惜しまなかった。