2014年7月号記事

The Liberty Opinion 4

緊張状態が続く南シナ海中国の横暴を座視するな

南シナ海をめぐって、中国と周辺国の間で、戦争に発展しかねない緊張状態が生まれている。

ベトナムが主張する排他的経済水域(EEZ)内のパラセル(西沙)諸島近くで、国有企業の中国海洋石油総公司が5月上旬、一方的に石油掘削を開始。これに反発したベトナム当局が、約30隻の艦船を送る一方、中国側も軍艦を含む約80隻の艦船を派遣。中国公船がベトナム船に体当たりや放水を繰り返し、ベトナム側に負傷者が出た。

これを受けて、ベトナム各地では、反中デモが続発。南部ビンズオン省では、中国に抗議する約2万人のデモ隊の一部が暴徒化し、中国系企業を次々に襲った。

また同じころ、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島近くで、フィリピン当局が、違法操業をしていたとして中国漁船を拿捕し、乗組員11人の身柄を勾留した。中国政府は反発している。

こうした動きに対して、ラッセル米国務次官補は、訪問中のベトナムで、「領有権問題は、平和的、外交的に解決されるべき。力の行使は控えなければならない」と中国をけん制した。

だがこれらが、 4月下旬に米軍のフィリピン回帰が決まった直後に起こったことを考えると、中国はアメリカをなめてかかっていると見ていいだろう。