韓国の珍島沖で、旅客船「セウォル号」が沈没し、死者212人、行方不明者90人(1日時点)という未曾有の大惨事となったこの事件の原因は、いまだわかっていない。現時点で有力視されているのは、船が急旋回したために積荷が荷崩れ、船全体のバランスが失われて転覆したという説だが、不可解な点が多い。

まずは、船首や船底中央に接触跡のような傷が見つかっていること、そして、救助された乗客が沈没前に「ドーン」という音を聞いたと報じられていることだ。さらに不可解なのは、こうした重要な点に関して、韓国政府が何も言及していないことだ。そのため、「今回の事件に関して、韓国政府は何か隠しているのではないか」という憶測が飛び交っている。

船体の傷や衝撃音があったことから、船が何かに接触・激突したことも想像できる。ならばまず思い浮かぶのが、「暗礁に乗り上げた」というパターンだが、船の沈没地点周辺に暗礁らしきものはないという。

自主民報など一部韓国メディアは、「セウォル号は、アメリカの潜水艦と接触して沈んだ」と主張している。実際に、同時期に韓国近海で米韓が大規模な合同演習を行っていた。しかし、船が沈没した海域は水深30メートルほどの浅瀬で、潜水艦が入るとは考えにくい。また、同メディアは親北朝鮮指向であるため、「米韓分断」を促すような主張をしたという見方もある。

一方、信憑性が高いのは「北朝鮮軍の攻撃」という憶測だ。米系ニュースサイト・ビフォアー・イッツ・ニュースは、「北朝鮮が小型潜水魚雷を使ってフェリーを沈没させた。韓国政府はそれを知っているが、北朝鮮と戦争になることを避けるために、事実をもみ消している」と報じた。信頼できる情報筋から得た話だという。つまり、韓国政府は北朝鮮の攻撃であることを知りつつも、それを国際的に発表すれば、北朝鮮が「事実無根だ」と反発し、制裁と称して攻撃を仕掛けてくる口実とする可能性があるので、事実を隠しているということだ。政府の公式発表ではないが、一定のリアリティがある。

実際に、2010年に韓国の軍艦が突然爆発し沈没した「韓国哨戒艇沈没事件」も、国際的な調査により北朝鮮の攻撃によるものと断定された。しかし、北朝鮮側は関与を否定し、「謀略だ」として韓国に反発している。

当時と比べて、両国の緊張はさらに高まっている。北は4回目の核実験を予告し、4月29日には黄海の北方限界線(NLL)の北朝鮮側で砲撃訓練を行っている。金正恩が求心力を高めるために、戦績を上げ、韓国側を挑発する意図で、「セウォル号」を狙ったことは十分考えられる。今回の事故が北朝鮮の仕業ならば、朝鮮半島で有事が起きる前触れと言える。(光)

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