2030年の「新しい資本主義」 - 編集長コラム

2030年の「新しい資本主義」 - 編集長コラム

バブルの発生と崩壊が繰り返され、「資本主義の行き詰まり」が指摘されている。写真:ロイター/ アフロ

 

2014年6月号記事

 

2030年の「新しい資本主義」

 

「お金を持っているだけで、利子がつくような時代ではもうなくなった。ということは、これはある意味で『資本主義の終わりが来ている』ということだと思うのです」

 大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は3月、政治家・企業家養成機関「HS政経塾」での法話でこう語った。

 日本では、長期金利の指標となる10年国債の利回りが1997年以降、2・0%を下回っている。米英独も2008年のリーマン・ショック以降、後を追った。10年で回収するつもりで事業展開しても、投資額の2%以下しか利潤を生まない。これではビジネスにならず、やはり「資本主義の終わり」と言っていいようだ。

 

 

「資本主義が終わる」3つの理由

 近代の資本主義が「行き詰まっている」と指摘する経済学者らは、その理由として大きく3つを挙げる。

(1)資本移動がグローバル化して実物経済の何十倍ものマネーで、バブル発生・崩壊が繰り返される。結果、特に欧米で大量の失業者が出る一方、経営者層が一般社員の数百倍の年収を得るなど「格差」が生じている。

(2)欧米先進国は15世紀末の新大陸発見以降、基本的に途上国から資源を安く買って工業製品を輸出し、富を蓄積。しかし21世紀は新興国も近代化し、「フロンティア」がなくなった。

(3)今後、新興国や途上国が豊かさを手にする過程で、世界のエネルギー消費は2倍以上に増え、資源・食糧の危機が訪れる。

 こうした「資本主義の終焉」と同時に叫ばれているのが「脱成長」だ。最近では2月の都知事選に出馬した細川護煕元首相が、「欲張りな資本主義ではなく、『脱成長』の心豊かな生き方で満足できる国づくりを進めていかなければならない」と語った。

 しかし、経済成長を捨てたらどうなるか。経済規模の縮小は、年々収入が減ることを意味する。そのうえ、このままなら税と社会保険料の負担が2倍、3倍に跳ね上がる。20~30代の若い世代は、減り続ける年収から50%以上を税金で取られる「極貧」が待つ。「脱成長」はあり得ない。

 

 

資本主義の何が変わり何が変わらないのか

 経営学者ドラッカーは、1960年代から2030年ぐらいまでを「数百年に一度起こる歴史の転換点」で、「新しい資本主義への移行期」と述べていた。

「移行後」については、人、モノ、カネ以上に「高度に専門化された知識」が富を生み出すと予言。時間の使い方や交渉力など価値を生むためのセルフマネジメント能力が求められるとした。

 その意味で、今の資本主義が終わっても、勤勉に働き、創意工夫する資本主義精神は変わらないということだろう。

 同時に、「企業家が仕事を創り出し、社員の生活が成り立ち、税金を集めた政府が弱者を助ける」という枠組みも変わらない。

「脱成長」なら、極貧の「不自由さ」に甘んじるしかない。ドラッカーが見通す「ポスト資本主義社会」では引き続き、個人や企業がその才覚や知恵を最大限発揮するために、「自由」が大切な価値となる。

 

 

50年、100年でリターンを求める

 逆に、「新しい資本主義」では何が変わるのか。大川隆法総裁は同じ法話の中でこう明言した。

「未来人類にとって役に立ち、彼らが振り返って、前(の時代)にいる人たちに感謝する仕事をすることが、経済の拡大につながる。これが新しい時代の貨幣の信用の裏付けになると思われます」

 株式会社の起こりは、17世紀初めの東インド会社につながる貿易船とされる。新大陸などへの航海ごとに出資を募り、利益を分け合った後は解散した。会社の寿命は1年程度だ。19世紀の産業革命以降は、工場などに10年単位で投資され、何世代にも事業が引き継がれた。

 だが、近年のグローバル資本主義は、17世紀よりも投資期間が短い。投資家の多くが3カ月ごとの企業決算を見て、短期的に利益の最大化を目指している。

 大川総裁によれば、「新しい資本主義」は、数カ月単位で自分へのリターンを求めるのではなく、50年や100年の単位で未来人類にリターンをもたらすものだということになる。

 子や孫、曾孫の代のために植林し、自分の代ではリターンがない、本来の林業に近い考え方だ。

 これは、バブルの発生・崩壊で数多くの失業を生むグローバル資本主義への一つの「答え」だ。

 

 

「フロンティア」はいくらでもある

2050年には人口100億人時代に。人類が食べていけるだけの仕事、食 糧、エネルギーを生み出さなければ、未来はない。写真:アフロ

 資本主義の「行き詰まり」の2つ目の理由として、「フロンティア」がなくなったと言われるが、果たしてそうだろうか。

 大川総裁は、未来の基幹産業になり得る分野として、スペースシャトルを旅客機として飛ばすなどの航空・宇宙産業、リニア新幹線で世界を結ぶ交通革命、海底や地中での新資源開発などを提唱している。

 つまり、「空」「宇宙」「海底」「地下」はもちろん、「地上」であっても「フロンティア」はいくらでもあるということだ。

「行き詰まり」の3つ目の理由である「資源・食糧不足」は、2050年に人口100億人に迫る人類の最大の課題だろう。

 先進国の人口は約13億人。残りの60億人弱の人たちが今、先進国が500年かけて達成した豊かさを、わずか数十年で実現しようとしている。世界のエネルギーと食糧の消費量は軽く2倍、3倍に跳ね上がる。当然、資源争奪の戦争の危険も高まる。

 醜い戦争の危機を救う新エネルギーや食糧増産技術の開発は、まさに50年後、100年後の未来人類のための仕事だ。

 

 

数千兆円規模の投資を

 同時に大川総裁は、100億人が食べていける仕事を今から創り出すべきだと訴えている。

「新規事業をつくり、彼らに給料を支払えなければなりません。そうすると、絶対に、資金の供給を増やさなければ駄目です。これは、インフレではなく、『経済の拡大』なんですよね。経済の拡大をしなければ、これから増えていく世界の人口を賄えるようにはならないんですよ」(『HS政経塾・闘魂の挑戦』)

「新しい資本主義」は、「フロンティア」や人類的な危機の克服のために、世界で何千兆円という規模で資金を集め、何十年とかけて果実を実らせるものだ。

 そのために、数十年単位で投資する株式市場ができるか。銀行が「将来の基幹産業を育てるのだ」という強い使命感の下、大胆にリスクが取れるか。政府も単年度予算などと馬鹿なことを言わず、100年先を視野に入れ、国力を飛躍的に高める投資ができるか。これらの課題をクリアする“産みの苦しみ"は、ドラッカーが言うように2030年ごろまで続くだろう。

 

 

幸福の科学大学と幸福実現党の使命

 2015年に開学予定の「幸福の科学大学」は、「地球100億人の幸福学」の構築を重要テーマとしている。創設される「人間幸福学部」「経営成功学部」「未来産業学部」の3学部は、連携しながら、「新しい資本主義」を生み出す役割を担う。

 大川総裁が創立した幸福実現党は、世界の貧困を一掃するぐらいの莫大な富を日本から生み出し、日本を世界の先進モデルとする構想を実現する。

 近代資本主義の下では、地球の全人口のうち15%の人たちしか豊かさを享受できなかったという。「新しい資本主義」は、100億人すべてが豊かで幸福になることを目指す。

 その意味で、特定の宗教や国、民族に限らず、人類を一人残らず幸福にできる新しい宗教の台頭が不可欠だ。言い換えれば、人類は、近代資本主義を生み出したキリスト教プロテスタンティズムを超える思想を待っている。

 それが世界に広がる時、ドラッカーの言う「高度に専門化された知識」が無限の富を生み、人々が生きがいと希望を感じる時代が到来する。

(綾織次郎)

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