学生の立法院占拠中の3月23日、総統府で会見を開いた馬英九総統。サービス貿易協定が発効できなければ「国際的な信用を損なう」と学生の説得を試みた。写真:ロイター/ アフロ

2014年6月号記事

台湾の未来

日本版・台湾関係法で日台両国を守れ

元自衛隊統幕学校副校長 元海将補

川村純彦

(かわむら・すみひこ)元自衛隊統幕学校副校長。元海将補。NPO法人岡崎研究所副理事長。日本戦略研究フォーラム理事。1936年生まれ。60年に防衛大学校を卒業後(4期)、海上自衛隊に入隊。対潜哨戒機パイロットや、在米日本大使館駐在武官、第5、4航空群司令などを歴任した。主著に『 尖閣を獲りに来る中国海軍の実力 』(小学館)。

台湾の学生たちが3月18日から4月10日まで、立法院(国会)を占拠し、大規模なデモを行いましたが、あれが現在の「台湾の民意」です。

馬英九総統は、台湾と中国の統一を進めるような、サービス貿易協定の法案を、ろくな審議もしないまま強引に通そうとした。学生たちは、それを「馬総統は民主主義を踏みにじった」と言って、あのような行動に出た。まさに民主主義です。

中国であのような国民の行動が許されると思いますか。台湾の人々は中国に統一されたくないのです。台湾は、中国との経済的な結びつきが強くなっていますが、中国で商売をしていると、突然、法律を変えられて莫大な損害を被るなど、人々は散々な目に遭っており、中国に対する不信感も高まっています。

こうした時にこそ、日本は台湾の人々に対する支援を表明すべきです。絆を深めるという意味もありますが、現実的には、日本の安全保障上の理由からも、絶対に必要です。

軍拡を続ける中国は近年、海軍を急速に増強し、太平洋での影響力拡大をねらっています。この海域からアメリカの軍事力を排除する、いわゆる接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略です。

この中国の戦略をくじくためにも、日本は、台湾、東南アジアと三位一体となって、太平洋への進出を阻止しなければいけません。