安倍晋三首相とオバマ米大統領が、宇宙における防衛協力の強化で合意との見通しであると、22日付産経新聞が報じた。24日に行われる首脳会談では、日米で衛星情報を共有し、北朝鮮・中国に対する監視を強化することで一致するようだ。

宇宙防衛とは、主に軍事衛星を利用して、他国の軍事情報を収集し、地上の防衛に生かす取り組みを指す。武器使用に関する情報を素早くキャッチできる上、軍事衛星自体が各国の武器利用に対する抑止力となるなど、大きなメリットがある。

軍事衛星には、主に、弾道ミサイルの標的・着弾確認を行うための偵察衛星や、軍隊の指揮管制を行うための通信衛星などがあり、各国がしのぎを削って開発している。軍事衛星の運用基数はアメリカ、ロシア、中国が世界のトップ3を占める。一方、日本でも、昨年情報収集衛星である「レーダー4号機」や、実利用衛星の信頼性向上に向けて、衛星に搭載される機器・部品の事前実証をするための実証衛星を載せた「H2A22号機」を打ち上げるなど、徐々に宇宙防衛に力を入れ始めている。

こうした背景には、拡大する北朝鮮・中国の軍事力がある。北朝鮮の弾道ミサイル発射の問題や、尖閣諸島付近を中心とした中国の領海侵犯の問題は、本欄でも再三述べてきた。日本の隣国は日本国憲法に記載されているように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」できる国とは到底言えない。国防を強化する上でも、世界屈指の宇宙技術を持つアメリカと連携をとることは非常に重要なことだといえる。

昨年、自国産の固体燃料ロケット「イプシロン」を発射したように、日本の科学技術は他国に引けをとらない。最先端の技術を持つ日米が宇宙防衛で手を組むことは、両国にとって極めて大きな利益を生むだろう。アメリカに負けずに、日本も高い宇宙技術を生かし、今後よりいっそう宇宙防衛を強化していきたいものだ。(冨)

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