福島での被ばくによる、がんの増加は予想されない――。

「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」は、報告書「2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルとその影響」で、こう結論付けた。日本政府や国際機関が観測したデータ、研究者の論文などに基づいて、80人以上の専門家が報告書をまとめた。

年間100ミリシーベルト以下の被ばくでは、発がんリスクは高くならない。調査では、大人が被ばくした線量が、その値を上回らないことが明らかになった。

福島第一原発事故で漏れた放射性物質は、事故当初恐れられていたような、大規模な健康被害を引き起こすことは、今も今後もないということだ。

本欄では、政府が広い地域に長期にわたり避難指示を出していることの誤りを指摘してきた。特に、避難生活の疲労やストレスが原因で死亡した「震災関連死」は、福島県で1600人と、同県の地震や津波による直接死を上回っている。

今回の報告は、事故当時、政府やマスコミが放射能リスクを過大評価したことの過ちを、改めて示したといえる。

ただ、この報告書には、「迅速な住民避難で、がん発生率の増加が抑えられた」と評価している部分がある。

確かに、放射線量の高い地域から離れることで、理論上発がんリスクはいくらか下がる。しかし、「長期的な住民避難で、疲労やストレスで死亡する人が飛躍的に増えた」ということを考えれば、「誤差」のレベルだ。

福島の放射線被害に関する国際機関の報告書は、これまでにも出されている。そのどれもが、「放射能は、1600人以上の命を犠牲にしなければいけないほど、危険ではなかった」と言わざるを得ない内容だった。政府は、長期避難指示の過ちを認め、福島で未だ多くの地域に出されている避難指示を解除すべきだ。(光)

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