始まったばかりの消費増税だが、すでにそのマイナスの影響が企業を直撃している。

消費税8%が始まった1日、新潟市でスーパーを展開していた「河治屋」が、新潟地裁から破産手続の開始決定を受けた。同社は、資金繰りに行き詰まっていた上、消費増税に対応した新型レジへの設備投資ができず、3月19日に事業を停止し、20日には従業員約60人を解雇した。

価格競争の面で値上げをためらう中小企業は、価格を転嫁せずに、増税分を自社で負担すると、当然、その分の利益が減ってしまう。家具大手「ニトリ」でさえも、3月28日の決算発表会見で、「最悪の場合、駆け込み需要の倍の落ち込みになるとみている」と、今後の消費の落ち込みについて、厳しい見通しを示している。

そんな企業の悲鳴をよそに、政府は着々と10%増税への準備を進めている。

安倍晋三首相は3月28日の閣議で、2014年度予算を早期に執行するよう指示。麻生太郎・財務相も、9月末までに、各省庁で6割以上の予算を実施済みとする目標を掲げた。麻生氏は同20日の予算成立後の会見で、「7~9月期に(景気回復を表す)数字が出るような結果にしたい」と話しており、財政出動による「好景気づくり」に余念がない。

こうした政府の動きについて、産経新聞編集委員の田村秀男氏は、30日付同紙で「公共事業に集中発注で夏頃の経緯が勢いづけば、財務省の思惑通り、安倍晋三首相は来年10月からの消費税率10%実施を年末までに決定することになる」と指摘する。

田村氏は、弊誌2014年5月号(3月29日発売)にも登場。インタビューで、「昨年4~6月期の実質成長率が良かったので、政府は増税に踏み切ったが、この数字は財務官僚が公共投資の集中的な発注で人為的に作ったもの」と語っている。

安倍首相は12月に、消費税率を10%に上げるか否か判断するが、国民をだますような手法で「好景気」を演出し、増税を決めてはならない。日本経済を沈ませた後に、責任を取って退陣したところで、国民が救われるわけではないからだ。(晴)

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