オバマ大統領、ダライ・ラマと会談 国際秩序の要としての自覚を忘れるな

アメリカのオバマ大統領は21日、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマと会談し、人権や信教の自由に関して、中国政府への懸念を示した。一方、中国外務省は、この会談に「断固反対」と即座に反応。今後の米中関係の行方が注目される。

 

今回の会談は、2010年、11年に続き3度目。今月に入ってアメリカは、ケリー国務長官やラッセル国務次官補がそれぞれ、東・南シナ海での中国の領有権主張、海洋進出に対する批判を繰り広げてきた。同様に、オバマ大統領はチベット問題についても中国を牽制し、人権問題に対する毅然とした態度を示そうとしたのだろう。そこには、シリア内戦への不介入が"弱腰"であるという米国内の批判を抑える意図も見え隠れする。

 

14日にケリー国務長官が訪中した際に、習近平国家主席から、「新しい形の大国関係の構築に全力を尽くす」というメッセージが伝えられたように、現在、米中両国は、「新しい形の大国関係」を模索中だ。

 

習氏の発言は、一見、国際社会の安定を目指す姿勢にも見えるが、その実、中国は、太平洋地域に侵出し、アメリカと太平洋を東西で二分して支配しようと画策している。中国にとっては、太平洋の東半分を支配下に置くことが「新しい形の大国関係」ということだ。この太平洋侵出への強い意志は、昨年6月の米中首脳会談でも確認されている。

 

一方、オバマ大統領は、人権・自由・平等を重視した国際秩序を維持したいと考えている。米中は、まさに「同床異夢」だ。

 

最近、中国の江沢民元国家主席、李鵬元首相らに対して、スペインの全国管区裁判所が国際手配を要請したのは、チベット人の大量虐殺に関与していたことが理由だ。また、中国の南シナ海への傍若無人な海洋侵出は、フィリピンのアキノ大統領が「ナチス」に例えて批判したほどである。

 

12年5月、イギリスのキャメロン首相がダライ・ラマと会談した後、英中関係は冷え込んだ。だが、対中貿易への悪影響を恐れ、13年5月に「チベットの独立不支持」を表明し、関係修復を図ったキャメロン首相は、国内外から「完全な降伏」と批判された。

 

ただ、今回のオバマ大統領とダライ・ラマの会談は、大統領執務室を使わず、私的目的でよく使われる「マップルーム」が使用されたり、「チベット独立は支持しない」とあえて言及したりするなど、中国側に大きく配慮する姿勢を見せた。

 

「対立回避」も行き過ぎると、世界は、中国だけが思い描く「新しい形の大国関係」に近づく。オバマ大統領は、「アメリカが人権・自由を守る国際秩序の要である」という自覚を忘れてはならない。(HS政経塾生 森國英和)

 

【関連記事】

2014年3月号記事 「中国・新疆ウイグル自治区の実態に迫る -態勢のカシュガル潜入レポート」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7262

 

2014年2月18日付本欄 「米高官『中国は根拠を出すか、引っ込むか』を要求 中国の南シナ海領有権を批判」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7384

 

2014年2月6日付本欄 「現代のナチスは日本?中国?フィリピン・アキノ大統領が『中国はナチス・ドイツ』」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7341

 

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