韓国が歴史問題をめぐる反日攻勢をエスカレートさせている。日韓間だけの懸案として歴史問題を扱うのではなく、米国や国際機関など第三者を巻き込んで国際的な"反日包囲網"を形成しようとする姿勢を見せている。

日本の初代総理大臣であり初代韓国統監となった伊藤博文を暗殺した安重根をたたえる記念館を中国・ハルビン駅に開館するなど、韓国は歴史問題をめぐって中国との連携を強めてきた。

中国だけにとどまらず、アメリカにも対日圧力の継続を求めている。朴槿恵・韓国大統領は25日、訪韓していた米共和党のマルコ・ルビオ上院議員との会談で、日韓の歴史問題に対する米国政府・議会の対応は相当な意味があると高く評価した。これは、安倍晋三首相の靖国神社参拝に米政府が「失望」を表明したことを評価しての発言と考えられる。

また、元慰安婦の証言記録の「世界遺産登録」も目指し始めた。韓国の女性家族省は15日、「元日本軍慰安婦の証言記録」をユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界記憶遺産」登録させるために、申請に向けた手続きを進めると発表した。登録を目指すのは、元慰安婦の証言記録や元慰安婦らが自らの体験を描いた絵画、ソウルの日本大使館前で22年あまり続く集会の記録などだ。中国や東南アジアなど元慰安婦がいるとされる国との協力も検討しているという。

さらに、同省は27日、従軍慰安婦関連の2014年度の事業予算を昨年比2.3倍の45億8700万ウォン(約4億3400万円)に増額したことを明らかにした。予算の約7割に当たる33億8300万ウォンは、「被害者の名誉回復、歴史意識の向上事業」に配分され、国内2カ所に慰安婦関連施設も建設するという。

他方、日本に対して朴槿恵大統領は27日、在日韓国人女性の代表らと会った際に、「一日も早く日本の政界が正しい道に戻ってほしい」と発言。安倍政権が韓国に対する姿勢を変えない限り、首脳会談には応じないと強調している。

こうした朴槿恵大統領の反日攻勢は、常軌を逸していると言わざるをえない。最近韓国では、慰安婦動員は強制でなかったことをソウル大学のアン・ビョンジク教授が指摘したり、従軍慰安婦が存在したことを示す拠り所となっている河野談話が日韓合作であったことが明らかになるなど、日本を攻撃する論拠も危うくなっている。

中国が覇権主義を強め、北朝鮮の核の脅威もある中で、本来は日本と協力体制を築くべきところだが反日感情から抜け出せず、韓国はもはや八方塞がりになっている。 朴槿恵大統領がつくろうとしている "反日包囲網"は、逆に韓国自身の首を絞めている。「正しい道に戻る」べきは、むしろ韓国であることに気づくべきだ。(飯)

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