中国国防省の担当者がこのほど、音速の10倍の速度で飛行する新型超高速ミサイルの開発実験を行っている事実を認めたことが各メディアで報じられた。このミサイルには、核弾頭を搭載することが可能で、アメリカが日本などと推進しているミサイル防衛(MD)システムの防衛網を突破することを狙ったものと見られている。中国の軍拡の脅威が顕在化しつつある。

中国が開発を進めるこのミサイルは、アメリカ、日本、ロシア、インドなどが開発しているものと同様に、ラムジェット・エンジンを搭載したものと推定されている。各国はこのエンジンで、対艦ミサイルや巡航ミサイルなどの研究開発にしのぎを削っている。日本では日米共同開発で音速の3倍以上の速さを出せるラムジェット・エンジンの実用化を進めており、この成果を現在開発中の新型艦対空ミサイル(XASM-3)に応用する予定だ。

現状のミサイル防衛(MD)システムで、音速の10倍の速度の対艦ミサイルや巡航ミサイルを迎撃するのは、可能ではある。日米で配備が進んでいる対空ミサイルSM-3ブロックIAは、2008年の迎撃実験で、音速の21倍以上で飛翔する弾道ミサイルを迎撃可能なことが証明されている。

さらに、SM-3ブロックIAの改良版であるブロックIBや、日米共同開発が進んでいるSM-3ブロックIIAが実戦配備されればさらに迎撃能力が向上する。SM-3ブロックIIAは今年度、試射が予定されている。

日本の自主防衛力の確立には、防衛網の整備だけではなく、反撃能力の保持も必要だ。日本が現在進めている音速の3倍以上の新型艦対空ミサイル(XASM-3)の開発は正しい選択だと思うが、これだけで満足せず、中国が開発を進める超高速対地巡航ミサイルや長距離の対艦ミサイルなどの開発と実戦配備も欠かせないだろう。(弥)

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