東大発ベンチャー「SCHAFT(シャフト)」は、アメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催したロボット競技会(DRC)の予選に参加し、全16チームが争う中、見事に優勝した。

DRCとは、2011年の東日本大震災によって発生した福島第一原発事故が契機となって発足されたロボットコンテストである。このコンテストでは、ロボットが起伏の激しい足場を歩く、障害物を取り除く、ドアを開けるなど、事故内で想定されるタスク(作業)の出来を競う。

多くのロボットが動かなくなるなどのトラブルが発生した中で、日本チームは滞りなくタスクをクリアしていき、見事1位に輝いた。これにより、DARPAから開発資金として400万ドル(約4億円)を獲得し、決勝ラウンドに進出することが決定した。

日本のロボット技術の高さが改めて証明された結果だが、実はSCHAFTは、IT大手であるグーグルにすでに買収され、外資系企業となってしまっている。

なぜ買収されたかと言えば、ベンチャー企業であるSCHAFTに投資をかける国内企業がなく、グーグル・ベンチャーズ(グーグルの投資会社)に話を持ちかけたところ、グーグル本体が興味を示したからである。

日本の産業用ロボットの世界シェアは5割を超え、日本のお家芸として世界に君臨している。2005年に開催された愛知万博で披露されたトヨタの二足歩行型ロボットを記憶している人も少なくないだろう。

しかし、SCHAFTのようなベンチャー企業が、ロボット研究を進めることができる環境が十分に整っていない。トヨタやホンダといった資金力のある会社に限られており、ベンチャー企業が大企業へと発展し、産業を形成するというのは難しい状況だ。

日本政府は、官民一体となって新しい産業になりつつあるロボット産業への投資を大胆にすべきだろう。ロボット産業は、多額の予算がかかり、実用化が遠いと思われがちだが、決してそんなことはない。

2012年の日本のロボット生産高は、1.2兆円だった。新エネルギー・産業技術総合開発機構と経済産業省の予測によると、産業ロボットの世界市場は2035年に約2.7兆円となり、サービス分野では、約5兆円になると試算され、大きな可能性に満ちている。

安倍晋三首相は、成長戦略としてロボット産業を軸とした国家戦略を進め、日本をさらに発展させていくべきだ。(慧)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『「未来産業学」とは何か』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1049

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2013年3月号記事 「トヨタが自動車メーカーでなくなる日」

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