外務省は19日、米国で行われた日本に関する世論調査の結果を発表。現在の日米安保を維持すべきだと考える人が過去最低の67%という厳しい結果となったと20日付各紙が報じている。

本調査は、今年7~8月、一般国民1000人と、政財界や宗教界、マスコミ関係者ら有識者201人を対象に行ったもの。

有識者とは区別して行った一般国民対象の調査で、「日米安全保障条約を維持すべきか」という質問に対し、「維持すべきだ」と回答した人は一般で67%(前年より22ポイント減)、有識者で77%(前年より16ポイント減)となり、共に急落した。

さらに、「アジアで最も重要なパートナー」を選ぶ質問では、日本ではなく中国がトップとなった。日本を選んだ人は一般で35%(前年より15ポイント減)、有識者で39%(前年より1ポイント減)に対し、中国を選んだ人は一般で39%、有識者で43%という結果だったという。

アメリカ国民が日米同盟の維持に消極的になっている原因としては、アメリカの財政赤字や軍事予算の削減に伴い、尖閣諸島問題を中心とする日中の衝突に巻き込まれることを本音では避けたい考えがあると見られる。日本としては、集団的自衛権の行使を認めるなどして、協調関係を深めたいところだ。

一方、アジアの重要パートナーとして中国を選ぶ国民が増えている背景には、中国市場への期待と共に、経済面における日本への失望や不満が渦巻いていると考えられる。

実際、TPP交渉では、同盟国である日本とアメリカが最も対立しており、年内妥結は見送られることになった。自民党は、麦やコメなど農産品5項目を関税撤廃の対象外にすることを求める一方、アメリカ側が求めている日本市場での自動車の安全性や環境の基準緩和については拒否し続けている。

国防面でアメリカ頼みを続け、経済面では「国益」ばかりを主張する日本の姿勢は、国際社会ではエゴイズムに取られかねない。トータルで見た同盟国の協力関係という意味では、日本はアメリカから物を買って、経済を支えようとする面が足りないのではないか。

そうは言っても、中国の一党独裁の全体主義体制は、自由主義を掲げるアメリカとは根本的に相容れない価値観だ。それに、太平洋からアメリカ軍を追い出そうとしている覇権主義の中国政府は、アメリカを「重要パートナー」とは見ていないだろう。

アメリカがアジアで手を組むべき国は、同じく自由の価値を認めている日本しかない。そのためにも、日本は日米両国が発展する道を考え、世界のリーダー国としての自覚を深めていくことが大切だ。(雅)

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