2014年2月号記事

The Liberty Opinion 5

「張成沢粛清」 金正恩霊言どおりの展開

北朝鮮のナンバー2だった張成沢・前国防委員会副委員長(67)が12月、国家転覆を画策した罪で死刑判決を受け、ただちに処刑された。

裁判では、張氏を「犬にも劣る醜悪な人間のくず」と罵倒。2009年のデノミネーション(通貨単位の切り下げ)失敗による経済混乱についても、「民心が乱れるように背後で操った張本人」とした。

だが、デノミなどの政策を金正恩・第1書記の了承を経ずに進めることは不可能。 張氏が権力闘争に敗れたことは明らかだ。

張氏は故・金正日総書記の妹・金敬姫党書記の夫で、金正恩氏の義理の叔父にあたる。中国との太いパイプを持ち、近年は鉱山開発などの軍部の利権を奪って国内の経済改革を主張。12年末のミサイル発射や13年春の開城工業団地の閉鎖の際には、主導する軍部に異を唱えた。

こうした言動が軍部の怒りを買ったと見られ、張氏に代わって新たに崔竜海・軍総政治局長がナンバー2の座に就いた。 今後は、軍部の発言力が増し、血気盛んな金正恩氏の独裁体制が強化されるだろう。つまり、「先軍政治」「恐怖政治」の強化である。