文部科学省は29日、全国の小・中学生を対象とした2014年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、各市町村の教育委員会がそれぞれの判断で、学校ごとの結果を公表できるよう、実施要領を改定すると発表した。下村博文文科相は、同日の記者会見で、「保護者、地域への説明責任は重要」と述べている。教育改革の効果測定が進むと期待できる。

これまでも、各学校の判断でテストの結果を発表することは認められていたが、各市町村の教育委員会が地域の学校別の結果を公表することは認めていなかった。学校の序列化や過度な競争を避けるため、というのが理由だ。

ただ、13年度の結果については、9月に静岡県の川勝平太知事が同県の小学校について上位86校の校長名を公表したほか、大阪市教委も各校に結果を公表するよう義務付けた。7月に文科省が行ったアンケートでも、都道府県知事の過半数が、学校ごとの成績公表に賛成している。

また、佐賀県の武雄市教育委員会では、抽出式でテストが行われた12年度にも、独自に全員参加でテストを実施し、各校が発表したテスト結果を集約してホームページに公表した。公表前の保護者アンケートでも67%が学校別公表を希望していたことも後押しになっている。同市の樋渡啓祐市長は、「税金を使ってテストを実施している以上、結果は公開すべきだ」「学校の序列化が進むとの指摘は荒唐無稽だ。結果を受けて生徒の奮起も期待できる」と話している(2012年12月20日付読売新聞)。

学力テストの結果は、いわば教師の通知表であり、学校教育の効果を測るものだ。結果を公表することで学校間の競争が生まれ、各校が創意工夫する中で教育の質も高まる。また、学校選択制が全国に広がるなか、各校のテスト結果は学校選びのための重要な情報だ。

公教育も行政サービスであり、生徒や保護者は「顧客」にあたる。顧客がより良いサービス、つまり質の高い教育を受けられるよう、情報公開は積極的に進めるべきだ。閉鎖的な公教育に外部の目を入れるためにもテスト結果の公表を促し、教育現場で競争原理が働く仕組みをつくるべきである。(晴)

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