安全保障体制の強化を目指す安倍政権の下、26、27日に相次いで、「特定秘密保護法案」が衆院を通過、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法」が参院で可決、成立した。日本を取り巻く国際情勢が混沌とする中で、政権が国民を守る体制を強化する流れは歓迎する。だが、本音を語らないまま物事を進めようとする安倍晋三首相の姿勢には、賛同できない部分が残る。

機密情報を漏らした公務員などへの罰則を強化する特定秘密保護法案は26日夜、衆院本会議で賛成多数で可決し、参院に送付された。政権は、12月6日までの国会会期内に成立を目指す。27日には、参院本会議において、安全保障や外交政策の司令塔としての役割を果す日本版NSC設置法が、賛成多数で可決、成立した。

秘密保護法について、これまで多くのマスコミが批判を展開してきた。だが、スパイを取り締まるための包括的な法律が整備されていない日本を、当のマスコミ自身が「スパイ天国」と揶揄している経緯がある。また、アメリカやイギリス、ドイツやフランスなどの先進国では、すでに同種の法律が整備されている。

さらに、同法案の批判の論点として、「秘密保護法は、集団的自衛権の行使を容認することにつながる」というものがある。だがそれは指摘通りであり、日本に秘密保護法が存在せず、機密情報を管理できないままであれば、同盟国のアメリカも安心して日本と情報を共有することなどできない。軍事情報であればなおさらである。

つまり、いずれの法律も、厳しさを増す日本の安全保障環境に対応するために必要なものであり、アメリカとの連携強化において信頼できるパートナーとして認識させるには欠かせない。しかしそうであるならば、これらの法律をつくる際に、安倍首相は「集団的自衛権の行使容認」や「憲法改正」の必要性を国民に訴えかけるべきだろう。

中国や北朝鮮の脅威が目前にせまっている事実、アメリカがアジア地域から退こうとしている事実を国民に伝え、堂々と集団的自衛権の行使容認や憲法改正の必要性を国民に語りかければいい。そのための秘密保護法であり、日本版NSCであると。

政治家の武器は「言葉」である。自民党は先の衆院選、参院選で大勝しているが、いま本音を語らずして、いつ語るというのか。安倍首相に、本当に日本国民を守る気概があるならば、ぜひ国民に向かって、その本音を語っていただきたい。(格)

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