日露両政府は2日、初の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を都内で開き、安全保障分野の協力を強めていくことで合意した。3日付各紙が報じている。

会談では、海上自衛隊とロシア海軍の共同訓練を従来の捜索・救難から、テロ・海賊対策に拡大するなど、両国部隊が新たに共同訓練を行うことで一致したほか、サイバー攻撃対策や北朝鮮の非核化に向けても、両国が連携する方針を確認した。

日本が2プラス2を開催するのは、アメリカとオーストラリアに続き3カ国目。領空侵犯や領土問題を抱えるロシアとの開催は異例ともいえる。

しかし、日本の国防において、ロシアとの関係は重要だ。

弊誌では以前から、中国の軍拡、覇権主義を牽制するためには「日露協商」を結ぶべきだと主張してきた。協商とは、経済・通商問題を中心に緩やかな協力関係を結ぶもので、軍事同盟ほどの強い関係ではないが、第一次大戦前の英仏露三国協商のように軍事同盟の機能を果たすこともありうる。

日露協商を結ぶべき理由は、日本がアメリカ、ロシア、中国という三つの覇権国に囲まれているからだ。なかでも中国の拡張主義が日本の独立にとって最も危険な要素になっている今、アメリカと良好な関係にあるだけでは不十分で、もう一つの覇権国ロシアとも関係を強化する必要がある。

しかも、これまで頼りにしてきたアメリカが、国内問題で紛糾し、オバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と発言するなど、アジア地域に対する力が弱まってきている。日本はアメリカだけに頼るのではなく、同盟国を二つ三つと持って、自分の国は自分で守る外交をしていかなければならない。

また、一方のロシアも、中国に対する警戒を強めている。中国はオホーツク海や北極海にも海洋進出を進めているほか、食料や資源を求める中国人が極東・東シベリア地域に移住してきているからだ。

ただ、日本の国民感情からすると、ロシアとの関係を考える上で避けて通れないのが北方領土問題の解決だ。これに関して、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『未来の法』のなかで、ロシアが北方四島を返さない理由について、「ロシアは、ほかにもたくさん外国の領土を取っているため、北方四島を返したらほかの国にも返さなければいけなくなるからです」と述べている。

また、ロシアのプーチン大統領の守護霊を呼び出して本音を聞いた、『ロシア・プーチン大統領と帝国の未来』(大川隆法著)の中で、プーチン大統領の守護霊は、「中国に領土を取られるのは困るから、日露がガチッと組めて、経済的にうまくいって、領土の安全が守れるようなら、四島返還を考えてもいいと思う」「君らの技のかけ方がよくて、『一本』を取ったらちゃんと返すよ」と、北方領土問題や中国との関係について本音を明かしている。

ロシア側が会談で日米共同開発中の弾道ミサイル防衛システムについて懸念を表明したことからもわかるとおり、日本にはアメリカとの関係も含めて難しい舵取りが求められる。しかし、日露関係が今後の国防において重要であることは間違いない。安倍首相には、柔道家でもあるプーチン大統領をうならせるような「一本」を、ぜひとも繰り出していただきたい。(紘)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ロシア・プーチン大統領と帝国の未来』 大川隆法著

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