オバマ大統領が政策の目玉にしている「オバマケア」にトラブルが続いており、与野党から批判の声が上がっている。

まず問題となったのは、各種保険を比較して申し込める政府のウェブサイト「エクスチェンジ」の障害だ。このサイトは、政府の補助金を使って安い値段で保険を購入できるというもので、オバマケアの柱になっている。しかし、10月1日の開設以降、現在もアクセスが殺到して、加入できない状態が続いている。

オバマ大統領は、30日にマサチューセッツ州ボストンでの演説で、ウェブサイトの障害について「可能な限り早く解消することに全責任を負う」と表明。オバマケアについては、病歴を理由に保険加入を断られることがなくなり、低料金で保険に加入できるようになったことなど、メリットを強調した。

ところが、さらに根本的な問題が浮上してきた。オバマケアの影響で保険料が値上がりしているのだ。2010年の法案成立前から、オバマ氏は繰り返し「加入中の医療保険を継続することもできる」と断言してきた。しかし現在、多くの保険会社が、保険内容の見直しを理由に、加入者に対して値上げを伴う再契約を通知している。なかには、保険料が3倍になるケースもあるという。

値上げの背景には、医療費自体が高騰していることに加え、病気になるリスクの高い加入者が増えるということもある。

オバマケアはそもそも、国民全員が低価格で保険に加入できる、事実上の「国民皆保険」を目指し、加入しない人には罰金を課すという制度だ。国民全員が保険に加入する期限は来年3月末に設定されているが、保険料の値上がりやシステムのトラブルを受けて、この期限の先送りはやむを得ないとの意見が、与党である民主党内からも出ている。

米議会の与野党は30日、連邦政府の赤字削減策などに関しての超党派委員会を開いた。ここでオバマ大統領と民主党は、富裕層増税とオバマケアの堅持、軍事費の削減を主張。対する共和党は、社会保障費の削減やオバマケアの見直し、反増税を主張している。16日に与野党が合意し、債務不履行の危機を回避した後も、政策面での対立は続いているのだ。また、来年2月には政府債務の引き上げ期限が来るため、再び混乱に陥るおそれがある。

国民の幸せを目指してオバマケアを実施する結果、保険料負担が増えて苦しむ人が増えるというのは、なんとも皮肉だ。結局は、国民が平等に貧しくなる方向に向かうことになり、本末転倒である。やはりアメリカはオバマケアを見直し、自助努力の精神で豊かになるというアメリカ本来の強みを守るべきである。(晴)

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幸福の科学出版 『バラク・オバマのスピリチュアル・メッセージ』 大川隆法著

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