除染に国費投入へ 厳しすぎる基準でコスト負担を増やしてはならない

自民党の東日本大震災復興加速本部(大島理森本部長)は29日、除染費用に対する国費投入などを盛り込んだ提言案を明らかにした。30日付の各メディアが報じている。

 

現在、除染は政府や自治体が手掛け、費用全額を東京電力に請求しているが、東電は賠償、廃炉、除染の費用を負担しており、「負担しきれない」と全額免除を求めていた。提言案では、計画済の約1.5兆円分は東電が、今後追加する除染と取り除いた土壌の中間貯蔵施設の費用は国が負担するとしている。

 

福島第一原発事故後の費用をすべて東電が賄うことには無理がある。国の役割を強化することは、復興を進めるために必要なことと言えるだろう。

 

ただし、どの程度除染する必要があるかについても、除染による効果とコストのバランスを考えて検証しなければならない。独立行政法人の産業技術総合研究所が今年7月にまとめた試算によると、政府が長期目標に掲げている追加被曝線量を年間1ミリシーベルトまで下げるとすると、約5.1兆円の除染費用が必要だが、年間5ミリシーベルトまでとすると約3兆円になるなど、線量の目標によって費用が大幅に変わる。

 

22日付の本欄でも伝えた通り、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが「年間1ミリシーベルトという追加被曝線量の目標にこだわるべきではない」としているほか、国際的に許容されている線量基準は年間1~20ミリシーベルトであり、放射線による人体への影響が確認されているのは、短時間に100ミリシーベルト以上浴びた場合だ。年間1ミリシーベルトというのは、自然放射線の日本の全国平均0.99ミリシーベルト程度を超えないという値であって、安全か安全でないかの基準ではない。

 

どうも原発の問題には、論理性を欠いた議論が多い。原子力規制委員会は、汚染水問題を理由に東電の柏崎刈羽原発の再稼働に向けた安全審査を開始せず、1カ月以上放置しているが、汚染水と再稼働は別の問題だ。福島第一原発事故の根本的な原因は津波による電源消失で冷却装置が止まってしまったことだとわかっているのだから、それを防ぐ安全対策が施されていることを確認して再稼働すべきだ。また、大阪市内では18日、反原発グループが、「福島の子供の葬式を模したデモ」を行ったが、これも原発と死を短絡的に結び付けて恐怖心を煽っているだけとしか思えない。

 

復興を進め、日本をより安全で豊かな国にするためには、恐怖心を煽ったり筋違いの理由で再稼働を遅らせたりすることではなく、理性的な対応が求められている。除染に関しても、IAEAの報告書にもあるとおり、「環境回復に伴う利益と負担のバランスを考えて最適化」すべきだ。厳しすぎる基準でコスト負担を際限なく増やしてはならない。(紘)

 

【関連記事】

2013年10月22日付本欄 年間1ミリシーベルト目標の除染「必要ない」とIAEA 厳しすぎる基準は復興を遅らせる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6806

 

2013年10月17日付本欄 東電の賠償や除染で国民負担が800億円 不要な避難や除染をやめ、原発を再稼働せよ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6786

 

2013年10月4日付本欄 汚染水は海に流れて「飲めるレベル」 高いところでも基準値の100分の1以下で大丈夫

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6737

 

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