高さ333メートルの東京タワーが、そのままビルに置き換わったら、相当な高さに感じるに違いない。

大阪市の天王寺駅前では、それが現実化している。

来年3月7日に全面オープンする「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)がそれで、高さ300メートルを誇る。横浜ランドマークタワーの296メートルを抜いて日本一となった。

展望台やホテル、美術館などが入る予定で、近畿日本鉄道によると、すでに開業している百貨店を含めて、約1530億円の売上を見込む。消費増税が決まって、景気の冷え込みも予想される中、大阪経済活性化の起爆剤となれるかどうかが注目されている。

大都市の高層化は、今後の日本の経済成長の大きな課題だ。

東京や大阪では、世界的な大都市でありながら、低層住宅が多く、土地活用の効率は悪い。せめて100メートル級のビルを量産できるようにしたいところだ。

ちなみにドバイのブルジュハリファは高さ828メートルで、東京スカイツリー(634メートル)より高い。どうせなら、五輪開催までに世界一を狙えるレベルの高層ビルを構想したらどうか。

以前取材した大手ゼネコンの担当者によると「1000メートルというのは、建築的に言うとそれほど難しい高さではない」らしい。つくろうと思えば、技術的には何の問題もないのだが、「1000メートルのビルをつくる“必要"が生じていないためにつくっていないだけ」だという。

つまり、「技術」ではなく、「構想」がないために、できないというわけだ。

であれば、今後の経済の活性化のカギは、まさに「構想」であり「アイデア」である。

できれば、今回の日本一の高さの更新を機に、各都市で空中都市構想を広げていきたい。

1000メートル級のビルともなれば、一棟で3万人程度が住むことが可能だ。もはや一つの都市である。一つのビルに、住居があり、オフィスがあり、工場があり、学校があり、病院があり、公園があり、寺院や教会がありという形だ。

ドラッカーはかつて「巨大都市の再設計が次の基幹産業になる」と言ったが、個性的なコンセプトのビル(都市)があちらにもこちらにも建てば、ユニークな未来都市が誕生するに違いない。(村)

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2011年1月号本誌記事 2031年日本の未来構想(1)「1万メートルタワー」で世界一の未来都市に

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2011年2月19日付本欄 摩天楼が都市を救う

http://the-liberty.com/article.php?item_id=1346

【関連書籍】

『未来はこうなる!』 山本俊政、嶋村茂治、清水建設(株)他著 幸福の科学出版

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=435