中国当局は12日までに、国内の新聞やテレビなどの記者25万人に対して、マルクス主義などを学ぶ研修を義務付け、来年1月から2月にかけて、統一の免許更新試験を実施すると発表した。習近平政権の下では、情報統制が強化され、人権弾圧が続いているが、ついに、マスコミの記者に対して、政府が「免許」を発行するというあからさまな言論弾圧へと踏み切った。

各紙によると、この発表を行ったのは中国国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局。習氏は、今年8月の会議で、「思想宣伝こそがマルクス主義の指導的地位を揺るぎなくする」と強調し、共産党の「喉と舌」であるメディアを通じて思想の引き締めを強めるねらいがあるという。

また、研修のテーマは、「マルクス主義報道観」「虚偽報道の防止」などの6項目で、各マスコミに教材を配り、年末までの研修期間後に試験を行い、不合格の場合は再試験が課される。

この状況は、あまりにも異常だ。日本でたとえれば分かりやすい。

自民党政権が、読売新聞やテレビ朝日などの各メディアに対して、「アベノミクス」「自民党批判報道の防止」などのテーマで研修を義務付け、試験で合格した記者にだけ「免許」を交付するということだ。もちろん、雑誌の記者も対象なので、弊誌の記者も研修を受け、試験を受け、免許をもらわなければいけない。おそらく、免許は交付されないだろう。

一党独裁国家のなせる業だが、尖閣問題や歴史問題で押し込まれている安倍晋三首相は、この中国の現実をどう見るのか。中国では今年5月に、当局が北京や上海などの大学に、「報道の自由」や「共産党の歴史的な誤り」など、7つの教えてはいけないことを指示するなど、習政権による言論・思想統制の強化が進んでいるが、こうした中国の現状に目をつぶり続けることが、正しいことなのか。

最近は、安倍首相が靖国神社の例大祭の期間中(17~20日)、参拝しないという報道が流れているが、こうしたおかしな国におもねって、自らの信念を曲げることに、どんな大義名分が立つというのか。

中国という国家が非常識な政治体制であり、その中で多くの国民が苦しみ、周辺国を軍事的に脅かしている現実を、国際社会に広めることこそが、今、日本がなすべきことであろう。(格)

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